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「っせぇんだよ、このガキ!!」

ラジオ塔に足を踏み入れた私を迎えたのは、そんな怒鳴り声だった。
無論、それは私に向けられたものではない。
ガキ…ってことは、まさかヒビキくんだろうか?
視線を声のした方にゆっくり移動させる。

「っ!」

そこに、いたのは。

「シルバー…くん、」

赤い髪に少し目付きの悪い眼差し。
エンジュで会ったきりの…、
どうして彼がここに。
傍観しているうちにも、事態はどんどん進んでいく。
騒ぎを聞き付けたのか、ロケット団員がもうひとり現れたのだ。
シルバーくんは小さく舌打ちをし、流石に少し動揺を見せる。
助けにいくべきだろうか、やっぱり。

……と。
一瞬視線を泳がせたシルバーくんと、目が合った。
彼は眉間にシワを寄せる。
恐らく、何でお前がここにいる…といったところか。

えぇい、ままよ!
私は走りだし、シルバーくんの隣に立つ。


「手伝うよ」

やっぱり、放ってなんておけないじゃない。

「…っ!別にお前の助けなんて、」

「そんなこと言ってる場合じゃ、ないんじゃない?」

視線を前に戻せば、ロケット団員たちは既にボールを構えている。

「なんだぁ、早速仲間割れか?」

「んー、っていうか仲間ではないけど助っ人にね」

「はぁ?」

シルバーくんも隣でぶつぶつ何か言っていたけど、やがて「足引っ張るなよ」と、聞こえるか聞こえないかの声でぼそりと呟いた。

思わぬダブルバトルが、始まった。

「いけ!ゴルバット!」

「やれ、ラッタ!」

「翡翠、よろしく!」

「バクフーン!」

シルバーくんが選んだバクフーンは、

「!」

『っ、』

翡翠が息を飲む気配が伝わってくる。
まさか、同時に出るなんて。まずいな…動揺してないといいんだけど。

しかしそれは杞憂だったみたいで、バトルが始まればいつもの翡翠だった。

「翡翠、リフレクター!」

バクフーンは確か防御があまり強くなかったように思う。
なら、先手を打ってサポートを。
翡翠とバクフーンは、一瞬薄い殻のようなものに包まれ、それはすぐに見えなくなった。

「ふん…!バクフーン、ラッタに火炎車!」

言うが早いか、バクフーンは指示と同時に飛び出し、火炎車を決める…が、流石に一撃では倒れない。
よろよろ起き上がり、体勢を立て直す。

「ちっ…!ラッタ、電光石火だ!」

ラッタは加速すると、バクフーンの懐に飛び込む。
翡翠のリフレクターのおかげで軽減されてるはずだけど、それでもそれなりにダメージはある。

『くそっ』

悪態をつきながらも、バクフーンはすぐに構え直す。

「バクフーン!炎の渦!」

すかさず放った炎で相手の2体を閉じ込める。
そして、炎がおさまったそこには、ラッタが倒れていた。


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