2 「ありがと、風音。ゆっくり休んでて」 『ん。何かあったらすぐに言うのよぅ』 そして、私は風音をボールに戻す。 時刻は風音の言った通り、お昼前。 街中だと目立つから、コガネより少し手前の35番道路で降ろしてもらった。 「さて…と、」 とりあえず、コガネに入ったらヒビキくんに連絡を取ろう。 一緒に行動するか別行動かは、またそのとき決めたらいい。 「よし!」 気合いひとつ入れて、コガネシティへ続くゲートをくぐる…と。 「…?」 そこは、以前に訪れたコガネシティとは少し。 雰囲気が、様相が、違って見えた。 その理由はすぐわかった。 人が、少ないんだ。 コガネシティはジョウト一の大都市。 なのに、人がまばらにしか見当たらない。 そしてそのうちの何人かは、見覚えのある黒服…ロケット団。 彼らに見付からないように、建物の影に移動してポケギアを取り出す。 目的の名前を見つけてコールすると、呼出し音が数回鳴らないうちにその人物は電話口に出た。 「…もしもし、ヒビキくん?」 「あ、カナエさん!博士から聞いたよ、もうコガネに着いたの?」 「うん、さっきね。ヒビキくんは?」 「オレは昨日からコガネに居るよ……あ、ごめんカナエさん。ちょっと一旦切るね」 何かあったんだろう。 慌ててヒビキくんは電話を切った。 仕方ないので私は私で行動を開始しようと思ったけどその前に。 もう一カ所、電話をかけてみたけどこちらは留守電に繋がった。 「まぁ、こんな状態だし仕方ないよね」 とりあえず、留守電に二言三言メッセージを残しておこう。 パタンとポケギアを閉じ、今度こそ。 どこから行ったらいいかわからないけど、とりあえず今朝博士が言ってたラジオ塔に行ってみよう。 何か手掛かりがあるかもしれない。 気合いを入れて、一歩。 私は、コガネシティに踏み出した。 |