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「ありがと、風音。ゆっくり休んでて」

『ん。何かあったらすぐに言うのよぅ』

そして、私は風音をボールに戻す。
時刻は風音の言った通り、お昼前。
街中だと目立つから、コガネより少し手前の35番道路で降ろしてもらった。

「さて…と、」

とりあえず、コガネに入ったらヒビキくんに連絡を取ろう。
一緒に行動するか別行動かは、またそのとき決めたらいい。

「よし!」

気合いひとつ入れて、コガネシティへ続くゲートをくぐる…と。

「…?」

そこは、以前に訪れたコガネシティとは少し。
雰囲気が、様相が、違って見えた。
その理由はすぐわかった。
人が、少ないんだ。
コガネシティはジョウト一の大都市。
なのに、人がまばらにしか見当たらない。
そしてそのうちの何人かは、見覚えのある黒服…ロケット団。
彼らに見付からないように、建物の影に移動してポケギアを取り出す。
目的の名前を見つけてコールすると、呼出し音が数回鳴らないうちにその人物は電話口に出た。

「…もしもし、ヒビキくん?」

「あ、カナエさん!博士から聞いたよ、もうコガネに着いたの?」

「うん、さっきね。ヒビキくんは?」

「オレは昨日からコガネに居るよ……あ、ごめんカナエさん。ちょっと一旦切るね」

何かあったんだろう。
慌ててヒビキくんは電話を切った。
仕方ないので私は私で行動を開始しようと思ったけどその前に。
もう一カ所、電話をかけてみたけどこちらは留守電に繋がった。

「まぁ、こんな状態だし仕方ないよね」

とりあえず、留守電に二言三言メッセージを残しておこう。
パタンとポケギアを閉じ、今度こそ。
どこから行ったらいいかわからないけど、とりあえず今朝博士が言ってたラジオ塔に行ってみよう。
何か手掛かりがあるかもしれない。

気合いを入れて、一歩。
私は、コガネシティに踏み出した。


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