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それは、この大変なときにできれば会いたくない人物。

「よォ、また会ったなぁ?」

「ロケット団…!」

チョウジの地下で、ラムダさんと会う直前に戦ったロケット団員が、あのにやにやとした笑みを浮かべて。
氷越しに、私たちを眺めていた。
隣には…あれは、何だろう?
夜色の体に、猫みたいな姿。宝石みたいな目が特徴的な、あまり馴染みのないポケモンが居る。

「お前にはいろいろ世話になったからなぁ。お前がキルリアを使うってことはもう知ってるから、このヤミラミを準備して待ってたんだが…まんまとかかってくれてよかったぜぇ」

男はにやにやと、一層笑みを深くする。

「どういう…?」

「お前がフスベに抜けるには絶対この道を通るからな。ヤミラミに悪の波動を使わせて待ち伏せしてたのさ」

「…っ!」

それはつまり、

「あんたのせいなの…?」

「そういうこったな」

男は、にやにやと笑みを崩さない。

「じゃあな、また縁があったら会おうぜぇ」

そう言って男は、ヤミラミと呼ばれたポケモンを連れて踵を返す。

「ちょっと自分!待ちぃや!」

「そうよ、こんなとに閉じ込めてどういうつもりよ?!」

炬と風音が口々に叫ぶ…が、男は笑みを浮かべたまま。

「これから一仕事あるからな。またチョウジでみたいにお前に邪魔されちゃたまんねぇんでな」

ま、運が良ければ誰か助けてくれんじゃねーの、と。
私たちの叫び虚しく、男は私たちの前から姿を消した。

「嘘でしょ…」

入口を塞ぐ大きな氷の塊。ちょっと押しても動きそうにない。
…そうだ、

「ねぇ、炬。炬の火炎放射で溶かせない?」

皆の視線が炬に集中する、が、

「溶かせる…とは思うけども、狭すぎるわ。氷で火が跳ね返って、危ないで。あたしはともかく、カナエらまで燃えんで」

それは、あまり嬉しくない返事だった。

「なぎ…、」

…も、駄目だ。
まだ凍傷が治ってない。

「大丈夫よ、私…!」

私の言いたいことを察したなぎが言う、が、

「駄目だよ、なぎ…なぎの手が、使い物にならなくなっちゃうよ」

ぎゅ、となぎの手を握りしめる。
ジョーイさんは言った。まだ完治しないうちから無茶をすると、なぎの手は使い物にならなくなる…と。
なぎが身を犠牲にしなくても、何かきっといい方法があるはず…!

ね、と皆の方を見ると、少し複雑そうな表情だった。


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