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「そしてもう一つ。君が連れているラルトスだ。昨日、突然人型をとった、といったね」

「はい」

「ポケモンは多くの種類がその成長とともに姿を変える。だけど、人型をとったという話は聞いたことが無いんだ。もちろん、ラルトスについてもね」

それは勿論、私も聞いたことがない。
しかし、今は元に戻っているが、間違いなく昨日は少年の姿をしていた。
それは、カイトさんにも確認を取ればわかるだろう。

「恐らく、君がこの世界にきて…それが多かれ少なかれ、影響を与えていると思うんだ。何か変わったことはあったかい?」

尋ねられて、昨日の記憶を手繰る。
草むらに放り出されて、突然蒼衣が現れて、街に連れて行ってもらって、そして…

「あ、」

「何かあった?」

「飴。飴をあげたんです。街に連れて行ってくれたお礼に」

それはまったくの気紛れだったけれど。
確かに、私は彼に飴をひとつ渡し、彼はそれを口にした。

「異界のものを口にしたものは異界に取り込まれる、ということだろうか…ふむ」

つまり、異界…即ち、私が元居た世界。
そこから持ち込んだものを口にした蒼衣は、何らかの突然変異として人型を取ってしまった…と、いうことだろうか。

「なるほどね、確かにその可能性は高い。さて、カナエちゃん。ここからが本題なのだけれど」

姿勢を正して、博士は言った。

「残念ながら、今の時点で僕に言えるのはこれくらいだ。そこで、どうだろう。この世界で、しばらく旅をして、冒険に出てみるというのは」


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