7 「っ!」 淡い光が、翡翠の体を包み込む。 これは…、 「翡翠!」 光がおさまった、そこに居たのは。 『あれ…もしかして俺、進化したっぽい?』 きょと、と不思議そうに、翡翠は自らの体を見ている。 随分と大きくなった体には、かわいらしいピンク色の花びら。 「あらまー」 風音も驚いて、一歩翡翠に近寄った。 「ほぅ、進化したか」 『はぁー?ちょっとマジありえねーんだけどー』 『ありえないって何だよ、ありえないって!』 ジュゴンは心底、気だるそうに言った。 (よっぽど翡翠が気に入らなかったのかなぁ) ともあれ。 強くなる、と、翡翠は私に約束をしてくれた。 そして、翡翠はそれを守ってくれた。 なら、私もそれに応えなきゃいけない。 「よし!やろう、翡翠!」 『おう!』 進化を喜ぶのは、このバトルが終わってから。 だから、今は全力で…! 「ねぇねぇ翡翠、あれできる?日本晴れ」 『…!できるぜ!』 じゃあよろしく、と言った瞬間。 さっきまであられが吹き荒れていたのが、あたたかな陽射しに包まれる。 そうだ、なんでこれを思い付かなかったんだろう。 「翡翠、準備はいい?」 『いつでも!』 「ジュゴン、気を抜くな!」 『言われなくても!』 ジュゴンは攻撃に備えて身を構える。 しかし、こちらの準備は既に整っている。 「翡翠、ソーラービーム!」 『オッケー!』 普段ならエネルギーを溜めるのに時間がかかるけど、日本晴れの今なら。 陽射しをたっぷり浴びて、一呼吸おいて、そして。 『これで、終わりだ!』 光のかたまりが放たれ、 『う…わぁあああ!』 「!」 太陽の光を集めたエネルギーに飲み込まれたジュゴンの声が響く。 『は…!まだ…、まだオレは、』 まだ負けまいとその身を起こそうとするけどそれは叶わず、どさりと崩れ落ちる。 『ぃよっしゃ!』 嬉しそうに一鳴きして、こちらに寄ってくる翡翠。 メガニウムに進化して、一回り…ううん、内面的には何回りも大きくなったように見える。 「ふ…、」 ヤナギさんはジュゴンをボールに戻して、そんな私たちの様子を見て小さく笑った。 ヤナギさんの手元にはボールがまだひとつ。 おそらく、切り札。 そして、ヤナギさんは口を開いた。 |