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「なぎ、電撃波!」

私の指示と同時に、渚楽は溜め込んだ電気を素早く放つ、が、

「ふん!パウワウ、氷のつぶて!」

特性に"静電気"をもつなぎ相手に接近戦は不利と判断したのか。
ヤナギさんは、遠距離攻撃の指示を出す。

「なぎ、炎のパンチで迎え撃って!」

「ほぅ…、」

パウワウが投げ付けた氷のかたまりを、なぎが手の先に生まれた熱で破壊すると、氷はあっという間に水になり、床一面を水浸しにする。
よしっ!

「なぎ、続けて放電!」

ばち、と火花が散り、そして。

『わぁあ?!』

パウワウは突然の衝撃に、驚きの悲鳴を上げる。

つまり、こういうことだ。
パウワウの放った氷を炎のパンチで溶かし、辺りに水を巻いた。
そこに放電を流すと、床の水を伝ってパウワウに電流が流れ込んだのだ。
床からの攻撃は予想外だったのか、びくん!と一度身体を震わせて、そして倒れ込んだ。

「ふぅ…む。なるほど、なかなかやるようだな」

目を回しているパウワウをボールに戻しながら、ヤナギさんは言う。

「ヤナギさん…あなたの言うところの"絆"が、何なのかは私にはわからない。でも、こうして戦いを通じて得るものも、それはきっとひとつの"絆"の形だと…そう、思うんです」

もちろん、戦いだけでなく。
日常での一挙一動から得られるすべてが。
私ときみたちを繋ぐもの。
言葉なんかじゃ言い表せない。
確かなカタチなんて存在しない。
でも、それは確かにここに"在"る。

すると、ヤナギさんは私の答えを聞くと、ふ、と小さく笑みを零した。

「最近の若い者にしては、マシなことを言う。悪くない」

そして、少し遠くを見つめ、続ける。

「最近の若いモンは、ポケモンを道具か何かと勘違いしている者も少なくない…私は、チョウジのジムリーダーとしてここからその様子を見るのが辛くてかなわん」

「ヤナギさん…ひとつ、いいですか?」

それはささいなことかもしれない。
ただの気まぐれと言われたら、それまでのこと。
でも、少し…気になったこと。

「聞こう」

ヤナギさんは頷き、続きを促す。

「どうして、私にその質問を?」

自分で言うのもなんだけど、私はヤナギさんから見れば十分に「最近の若い者」のはずなのに。

私の質問に、ヤナギさんは懐かしむように目を細めた。


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