4 「あ…あのね、炬ちゃん」 どうしたものかともごもごしてたら、なぎが口を開いた。 「あのね、翡翠くんはその…、炬ちゃんが足を組んでてぱんつ見えてるから、」 俺の言いたいことを代わりに言ってくれたなぎが女神に見える。 しかし、当の本人の炬はといえば、 「なんや、そんなことかいな」 と、意にも介してない。 え、なにこれ。 そういうモンなの?俺がおかしいの? 「まぁ、あれやで翡翠。細かいことは気にしたらあかん。あたしは気にしてへんで」 「「「「「「いやそれはちょっといくらなんでも」」」」」」 炬以外の声が、見事にハモった。 よかった、俺がおかしいんじゃなかった。 「ほうか?あたしは別に構わんのやけどなぁ。だってこれ見せパンやろ」 そういう問題じゃない。 お願いだから、もうちょっと気にして欲しい。 なんていうか、進化した炬は一層おおらかというか、おおざっぱになっていた。 「ま…まあ、とにかくさ、」 空気を変えようと、カナエちゃんが口を開く。 「チョウジのヤナギさんは氷タイプの使い手だっていうし、炬が進化してくれて心強いよね」 そうだ、なんかいろいろあったから忘れてたけど、まだここではジムに行ってない。 うーん、でも氷かぁ…俺、あんま得意じゃないんだよなぁ。 「あ、カナエ。その件だけどさぁ。アタシ、今回ジム戦パスね」 と、言い放ったのは風音。 そういえば、風音も氷は苦手だっけ。 うーん、だとしたら、その分もがんばんなきゃな。 強くなる。 そう、自分に誓ったばかりだ。 なら、自分の苦手なのを克服してみるのも、いいかもしれない。 「カナエちゃん、俺チョウジのジム戦出るよ」 カナエちゃんは少し驚いていたけど、にっこり笑って言ったんだ。 「よし、がんばろう翡翠!」 そうして、その夜。 みんなで一緒に眠った……んだけど、やっぱり炬がいろいろ無頓着なのはなんとかしてほしい。 炬に蹴り飛ばされた布団を直しながら、そう、切実に思った。 |