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「…え、それちょっとマジで炬?」

戻って来たとき、炬はウィンディに進化してた。

「それって何やねん。燃やすで、自分」

そういう赤い彼女は、確かに炬で。
っていうか燃やすとかマジでシャレにならないんだけど。

「いや、謹んで遠慮シマス」

別に炬が進化するのは悪いことじゃないし、それがカナエちゃんの判断なら俺がどうこう言うことじゃないし。
(ひとつ言えるのは、ますます俺が勝てなくなったってことだけだ)
(自分で言ってて虚しくなってきた)

「あらまー、炬アンタでっかくなったわねぇ」

風音の言う通り、進化した炬は俺の身長を完全に抜いていた。
(今までは俺が一番高かったんだけど)

「まぁ、立ち話もなんやし。座って話そうや」

そういえば、そのまま入口で立ち話になってた。
カナエちゃんと炬はベッドに腰掛けて、それを囲むようにして床に座る。



「まあ、いろいろあったわけやでこれが」

開口一番、炬はそう言った。

「いろいろって?」

「それはあたしとカナエの秘密やで。なぁ、カナエ?」

「そんな意味深に言うようなことじゃないけどね」

苦笑しながらカナエちゃんは言う。
炬は、「なんや、つれへんね」と言って笑った。

まあ、そういうことで。
炬が進化してくれたおかげで、戦力はかなり強化されたわけで。

でも、やっぱり俺自身ももっと上を目指さなきゃ。
カナエちゃんの笑顔を、そして、みんなを守れるように。

「か。しかし、まあ」

くあ、とあくびひとつして、炬。
腰掛けるのが居心地悪かったのか、足を組み替えてあぐらをかく………って、

「か…炬、その、」

これマジ逆セクハラで訴えてもいいですか。
気付いた以上、炬の方を向くに向けない。

「なんやねん、言いたいことあるんやったら、人と顔見てはっきり言いや」

無茶を言う。
同じ男だし、蒼衣に助けてと念を送ったら、気付かないフリされた。
ちくしょう!

「…?翡翠、どうしたの?」

炬の隣に座ってるカナエちゃんは、気付いてない。
風音は気付いてるけど、にやにやと笑って見てるだけ。

っだー!


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