3 「…え、それちょっとマジで炬?」 戻って来たとき、炬はウィンディに進化してた。 「それって何やねん。燃やすで、自分」 そういう赤い彼女は、確かに炬で。 っていうか燃やすとかマジでシャレにならないんだけど。 「いや、謹んで遠慮シマス」 別に炬が進化するのは悪いことじゃないし、それがカナエちゃんの判断なら俺がどうこう言うことじゃないし。 (ひとつ言えるのは、ますます俺が勝てなくなったってことだけだ) (自分で言ってて虚しくなってきた) 「あらまー、炬アンタでっかくなったわねぇ」 風音の言う通り、進化した炬は俺の身長を完全に抜いていた。 (今までは俺が一番高かったんだけど) 「まぁ、立ち話もなんやし。座って話そうや」 そういえば、そのまま入口で立ち話になってた。 カナエちゃんと炬はベッドに腰掛けて、それを囲むようにして床に座る。 「まあ、いろいろあったわけやでこれが」 開口一番、炬はそう言った。 「いろいろって?」 「それはあたしとカナエの秘密やで。なぁ、カナエ?」 「そんな意味深に言うようなことじゃないけどね」 苦笑しながらカナエちゃんは言う。 炬は、「なんや、つれへんね」と言って笑った。 まあ、そういうことで。 炬が進化してくれたおかげで、戦力はかなり強化されたわけで。 でも、やっぱり俺自身ももっと上を目指さなきゃ。 カナエちゃんの笑顔を、そして、みんなを守れるように。 「か。しかし、まあ」 くあ、とあくびひとつして、炬。 腰掛けるのが居心地悪かったのか、足を組み替えてあぐらをかく………って、 「か…炬、その、」 これマジ逆セクハラで訴えてもいいですか。 気付いた以上、炬の方を向くに向けない。 「なんやねん、言いたいことあるんやったら、人と顔見てはっきり言いや」 無茶を言う。 同じ男だし、蒼衣に助けてと念を送ったら、気付かないフリされた。 ちくしょう! 「…?翡翠、どうしたの?」 炬の隣に座ってるカナエちゃんは、気付いてない。 風音は気付いてるけど、にやにやと笑って見てるだけ。 っだー! |