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水が。
それは、間違いなく水だった。

『うあ、』

水の性質をもつそのエネルギーは、炬を襲う。
これは…、

「さっきのパウワウのままだったら、勝てたかもしれないのにねぇ」

ニィ、とアテナさんは笑みを浮かべた。

「アタシ、このコのこの力、ホントは炎がよかったんだけどねぇ。今みたいに、炎タイプ相手には、役に立つでしょう?」

『わたくしの力はマスター…アテナ様のため。マスターがいらっしゃるからこそ、わたくしの力を引き出してくださるのですわ』

優雅にラフレシアは一礼をして、そう言った。

『は…っ、確かにそうかもしらんなぁ。やけど、それはあたしの方かて同じやで。カナエが、あたしの力を引き出してくれる』

ゆるり、と。
炬はその傷ついた体を起こす。

『それもそうですわね。では、貴女方のお手並み拝見といきましょう』

『望むところやわ。…いくで、カナエ!』

「うん!」

「何をごちゃごちゃ言ってるのかしら?…ラフレシア、もう一度目醒めるパワー!」

『仰せのままに』

ラフレシアは先程と同じように水のエネルギーを発生させる。

『ち!阿呆の一つ覚えみたいに…っ!』

「炬、避けて体勢を立て直して……、熱風!」

私の考えがうまくいけば、

『あ…っつ、』

ビンゴ!
水のエネルギーは炬の生み出した熱風で加熱されて、辺りは熱気に包まれる。

「ラフレシア?!」

灼熱に包まれてラフレシアは戸惑い怯む。
ちらりと隣の様子を見ると、既にワタルさんのカイリューは相手のスリープを撃破していた。

「カナエちゃん、オレは先に中の様子を見に行く。ここは任せるよ」

私の視線気付いたワタルさんは、そう言ってカイリューを下げる。

「わかりました。後から追い掛けます」

私の言葉に頷き、そしてワタルさんは奥へ向かう。

「ふぅ…ん?ま、あのオニーサンはアンタを倒してからでもいいかしらね」

カツ、と。
アテナさんは、一歩踏み出した。


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