6 水が。 それは、間違いなく水だった。 『うあ、』 水の性質をもつそのエネルギーは、炬を襲う。 これは…、 「さっきのパウワウのままだったら、勝てたかもしれないのにねぇ」 ニィ、とアテナさんは笑みを浮かべた。 「アタシ、このコのこの力、ホントは炎がよかったんだけどねぇ。今みたいに、炎タイプ相手には、役に立つでしょう?」 『わたくしの力はマスター…アテナ様のため。マスターがいらっしゃるからこそ、わたくしの力を引き出してくださるのですわ』 優雅にラフレシアは一礼をして、そう言った。 『は…っ、確かにそうかもしらんなぁ。やけど、それはあたしの方かて同じやで。カナエが、あたしの力を引き出してくれる』 ゆるり、と。 炬はその傷ついた体を起こす。 『それもそうですわね。では、貴女方のお手並み拝見といきましょう』 『望むところやわ。…いくで、カナエ!』 「うん!」 「何をごちゃごちゃ言ってるのかしら?…ラフレシア、もう一度目醒めるパワー!」 『仰せのままに』 ラフレシアは先程と同じように水のエネルギーを発生させる。 『ち!阿呆の一つ覚えみたいに…っ!』 「炬、避けて体勢を立て直して……、熱風!」 私の考えがうまくいけば、 『あ…っつ、』 ビンゴ! 水のエネルギーは炬の生み出した熱風で加熱されて、辺りは熱気に包まれる。 「ラフレシア?!」 灼熱に包まれてラフレシアは戸惑い怯む。 ちらりと隣の様子を見ると、既にワタルさんのカイリューは相手のスリープを撃破していた。 「カナエちゃん、オレは先に中の様子を見に行く。ここは任せるよ」 私の視線気付いたワタルさんは、そう言ってカイリューを下げる。 「わかりました。後から追い掛けます」 私の言葉に頷き、そしてワタルさんは奥へ向かう。 「ふぅ…ん?ま、あのオニーサンはアンタを倒してからでもいいかしらね」 カツ、と。 アテナさんは、一歩踏み出した。 |