5


「仲良しごっこ…確かに、あなたから見ればそうかもしれない。でも、少なくとも私はこの子たちの力を信じてる」

見知らぬ土地で、何度も不安になった。
でも、いつの間にか私の周りには笑顔が溢れていた。
だから私はこの出会いを、絆を大切にしたい。

『あら、カナエ。それは心外ね。この間言わなかったかしら?私だって、貴女を信じてるのよ』

ずり、と垂は身を起こす。
真っ白な体に、擦り傷がいくつも見える。

そうだ…いかりの湖で、皆は私を信じて着いて来てくれた。
忘れることなんて、できない。

「うん、ごめんね垂」

私の言葉に、垂はクスリと笑った。

『ま、そういうことよね。さっさとケリ、つけちゃいましょ?』

そして垂は体勢を立て直す。
…そうだ!
もしかしたら、この技が使えるかもしれない。

「…ワタルさん、」

隣にいるワタルさんに、小さく呼び掛ける。

「すみません、カイリューを一歩下げてもらってもいいですか?」

ワタルさんは一瞬眉を寄せたが、小さく頷いてカイリューに目配せで合図を送る。
カイリューはすぐさま一歩身を引き、半身の構えを取る。
……よし、

「垂……雪なだれ!!」

垂が渾身の力で生み出した大量の雪は、地響きを立てながら崩れはじめ、そして。

「…っ!」

ごう、とヤミカラスを、ベトベターを飲み込んだ。
そして、そこには目を回して倒れている、ヤミカラスとベトベター。

「チィ…!役に立たないわね!」

アテナさんはそう言って、ヤミカラスをボールに戻す。
ロケット団員のベトベターも戦闘不能で、ボールに吸い込まれていく。

「ラフレシア!」

「スリープ、やれ!」

そして、アテナさんたちは次のポケモンを出してくる。
アテナさんは、小さく笑った。
それは、とても妖艶な笑み。

「垂、戻って!」

何かある…?
何か、企んでいる?
ならば、垂ではやや不利かもしれない。
私は垂を一度戻し、そして、

「炬!」

相手がラフレシアなら、炬の方が有利。

『応よ』

ボールから飛び出るなり、スタ、と綺麗に着地する。
どうやら、中でうずうずしてたみたいだ。

しかし、アテナさんは、むしろそれを見て。笑った。

「ラフレシア…目醒めるパワー」

『はい、マスター』


何が起こったか。
よく…解らなかった。


[*prev] [next#]




「#オリジナル」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -