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「行きなさい、ヤミカラス!」

「やっちまえ、ベトベター!」

戦いが、始まった。
アテナさんはヤミカラスを、ロケット団員はベトベターをそれぞれ繰り出した。

「よし、ならばカイリュー!」

そしてワタルさんは、カイリュー…多分、いかりの湖で会ったときの…を、繰り出した。
ならば、

「垂、よろしく!」

私が選んだのは、垂。
相性は、悪くない。

『久々の出番ね?いいわ、任せて』

一度振り返って、垂は頷いた。
よし…やろう!

「垂、氷のつぶてで先制攻撃!」

私の指示が飛ぶと同時に、垂は手の平よりも少し大きいくらいの氷の塊をいくつも作りだし、ヤミカラスめがけて投げ付ける。

「チィ…!ヤミカラス、上昇して避けなさい!」

アテナさんの指示とともに、ヤミカラスは上昇する、が、垂をナメてもらっては困る。
垂が氷を作る速度とその命中率は、なかなかに侮れない。

『かは…っ!いったいわね、何すんのよ!』

ヤミカラスが避けるより早く、垂の作った氷がヤミカラスを襲う。

『カナエ!一気にいくわよ』

「うん!」

垂も好調そうだ。大丈夫、なんとかなる。
ちら、と隣を見ると、ワタルさんのカイリューはさすがに強くて、ベトベターの体力も残りわずかなようだ。

「ふぅん?あなた、なかなかやるのねぇ」

アテナさんは言った。

「ねぇ、カナエちゃん。あたしからひとつ、提案があるんだけど」

「…?」

「あたしね、あなたが気に入っちゃった。どう?ロケット団に入るつもり、ない?」

にっこりと、アテナさんは笑みを浮かべる。
なんだろう、どういうつもりなんだろう?

「いえ…少なくとも今はロケット団の方針とは合いそうにありませんので」

すると、アテナさんはとても楽しそうにその笑みを深くした。

「そう言うと思ったわ。そうでなきゃ、勧誘のしがいもないもの」

そして、

「ヤミカラス!そこから急降下して、そのパウワウにつつく!」

不意を、突かれた。
私の…私たちのそのスキを突いて、アテナさんは仕掛けてきた。

「垂!かわし、」

かわして、と。言うより早く、アテナさんのヤミカラスは垂に攻撃を仕掛ける。

『きゃ、』

反応の遅れた垂はよけきれず、ヤミカラスの攻撃を受けた衝撃で転がり込む。

「垂!」

「ほんと、理解できないわ」

カツ、とヒールを鳴らして一歩。アテナさんが、近付いた。

「ヘドが出そう。仲良しごっこなんて甘いこと言ってるアンタに負けたやつらが信じられないわ」

ランスも含めてね、と。吐き捨てるように、アテナさんは言う。
見下ろす視線は、ぞくりとするほど冷たい。


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