8 「蒼衣…今の、どう思う?」 そして、私たちだけが残った。 蒼衣はしばらく考え込んでいたが、やがて 『嘘はついてなかった、と、思う。ただ、それ以上はわからない』 と、言った。 「そっか…」 蒼衣がそう言うんだったら多分、そうなんだろう。蒼衣が嘘をつく理由はない。 ラムダさん…不思議な、というより、わからない人だった。 たまたまロケット団に居る方が都合がいい、と言っていた。 それの意味するものは、一体何なんだろう? ラムダさんの言葉を信じてもいいものか、はかりかねる。 それはそうと。 「あ、そういえば蒼衣!あんた、今朝翡翠と何してたわけ?」 さっきのドガースが言っていた、「今朝のキルリア」というのは、多分…っていうか、間違いなく蒼衣だろう。 『たいしたことじゃないよ。今朝、ちょっと翡翠と話をしてたら、あいつに勝負をしかけられた。だから、翡翠にトレーナー役をしてもらっただけ』 「ふぅん…?」 まだ他にも何かありそうな気はする…けど、まあ、蒼衣のこの様子だと口を割りそうにないし、あとで翡翠にそれとなく聞いた方がいいかもしれない。 「まぁ、いいや。とりあえず…進んでみようか」 ラムダさんの言葉を信じるかどうかは別として、ここまで来てしまったし。 それに、多分あのロケット団員の男が私の…そして、マントの男の侵入を報告しているだろう。 だとしたら、街に戻ってもすぐに見つかる可能性は高い。 それなら当初の目的通り、ここに何があるのか知りたい……気がする。 『そうだね…行こう、カナエ』 先へ進もう。 何があるかわからない。 でも、知りたい。 今は、そう思うから。 地上の土産物屋とは大きく雰囲気の異なる地下に、一歩。 私たちは、踏み出した。 |