2 「ごちそうさまでした!」 あのあと、ひとしきり笑ったあとで、私たちは食堂へと足を運んだ。 和食中心のご飯はすきっ腹にも優しく、ようやく腹の虫も満足してくれたようだ。 「さてと。カナエ、これからどうすんの?」 かちゃかちゃと食器を片付けながら、風音が言った。 「これからねぇ…」 最初は今日くらいにでもジムに行ってみようかなー、なんて考えてたんだけど。 正直、昨日の今日ではそんな気分になれなくて。 「ジムは明日以降にしてさ、今日は散歩でも行こっか」 かといって、他に何がしたいわけでも、何があるわけでもなくって。 「そうだね。カナエちゃん、最近バタバタしてたし、いいんじゃないかな」 「息抜きも必要よ、カナエ」 …と、いうわけで。 チョウジか、その周辺で何かないものかと探してみたんだけど、一度見てみたかった氷の抜け道方面は現在工事だか何かで通行止め。 タイミング悪いなぁ。 仕方ないから町に戻ったけど、行くアテもない。 でも、湖方面へ行くのはあんまり気が進まない。 ぶらぶらと歩いていたら、いつの間にかおとついの和菓子屋さんの前に来た。 うーん…またおまんじゅう買って、みんなで食べようかなぁ、とか思ってたら、店のおじさんが出て来た。 「おや、こないだのお嬢ちゃん!」 「あ、どうも」 「またいかりまんじゅう食いに来たのかい?どうする、今日は50個に挑戦してみるかい?」 …そう、前回ここに来たとき、翡翠や風音、炬がひたすらいかりまんじゅうを食べて、最終的に30個を越えたのだ。 (あの子らの胃袋が一体どうなってるのかが知りたい) 「あ、いえ!今日は……、」 今日は違うんです、と続けようとしたとき。 私の視界に、見覚えのある黒が写った。 ……いかりの湖で会った、黒マントの男性。 一体、どこへ…? 彼は、私には気付いていない。 様子を見ていると、やがてひとつの建物に入っていった。 あそこは、確か… 「土産物屋さん?」 初日にちょっと覗いたけど、これといってめぼしいものがなかったからすぐに出て来たけど。 「ん?なんだ、お嬢ちゃん土産物屋に行きたいのかい?それなら、向こうののぼりが出てる建物だよ」 特に何か考えがあるわけじゃなかった。 でも、気付いたら。 マントの男を追って、私は土産物屋に足を踏み入れた。 中は、がらんどうだった。 |