1 夜が明けた。 あれから少し泣いたせいで、少し目が腫れぼったい。 部屋を見回すと、蒼衣と翡翠が見当たらない。はて…? 身を起こしてぼんやりそんなことを考えていると、がちゃりとドアノブの開く音がした。 「あ、カナエちゃん。おはよう」 「おはよう、カナエ」 既に身仕度を終え、どこかに出てたらしい翡翠と蒼衣が戻ってきた。 「おはよ、蒼衣に翡翠。散歩?」 「ん?んー、散歩…かな?」 かな?って何だ。 何で疑問形なんだ。 「ま、気にしないでよ」 「うん、そのうちわかるよ」 どうも、はっきりしない。 まあ、別にラルトスやチコリータのときほど心配する必要もないんだろうけどさ。 それにしても、翡翠はともかく、蒼衣が自発的に早起きだなんて珍しい。 「ま、いいや。ほら、みんな起きなさーい!」 毎朝の日課のように、みんなを布団から引っ張り出す。 もぞもぞと動き出し、「おはよう、」と口々にもごもご呟いた。 『なんや…もう朝かいな』 いっとう眠そうな炬が大きなあくびをしながら言った。 「もう朝ですよー。ほらなぎ、」 デンリュウになって少し寝起きが良くなったとはいえ、相変わらず一番布団から出て来るのは遅い。 布団を剥がして、ようやくもぞりと起き上がった。 『あ…おはよう、カナエちゃん』 「おはよう、なぎ。さ、朝ごはん食べに行くよー」 そういえば、昨日晩御飯を食べてないせいか妙にお腹がすいてる。 意識してしまうとそれは一層で、お腹の虫がきゅうと鳴いた。 すると、連鎖反応のように次々にみんなのお腹も鳴り始めて、誰からともなく大笑いした。 |