3 土煙がおさまった、そこに居たのは、 『姫君、ご無沙汰をしております』 エンジュの焼けた塔で出会った、 「ライコウ…」 雷を司る、伝説のうちの1匹。 スイクンのときもそうだったけど、こうやって対峙すると、そのプレッシャーは凄まじいものだと改めて思う。 蒼衣たちの間にも、緊張が走ったのが伝わる。 『姫君、今日は忠告に参りました』 じっと私を見据えたまま、ライコウは口を開いた。 「忠告?」 ライコウは頷き、そして、続ける。 『この先、チョウジへ進むのならば、貴女は辛い決断を下さねばならないやもしれません』 え…? 「それ、どういう…?」 ライコウは私の問いに、首を横に振った。 『わかりません。ただ、大きな力が動いているのです…得体の知れない、何かが』 それを感じ取ったから、私に伝えに来たのだと。 彼(多分、彼でいいのだろう。すごい渋い、いい声してるし)は、そう言うのだ。 「なぁーんか、気に入らないのよねぇ」 眉間にシワを刻んで、風音は言った。 『ふむ?気に入らない、とは?』 「アンタたちのことよ。こないだの青いのといい、奥歯にモノが挟まったような思わせ振りなことばっかり言ってさぁ。アンタたちの目的は何よ?」 ずばり、風音はライコウに問う。 ライコウはふぅーむ、と小さく唸った。 『我ら自身に目的はない。我らはあの御方の為、姫君の標となること』 「じゃあ、貴方がたにカナエを導くよう、望んでいるのは誰なのかしら?」 今まで傍観していた垂が口を開いた。 そうだ、それは私もずっと気になっていた。 しかし、 『申し訳ありません。私の一存で申し上げることはできないのです』 その問いにも、ライコウは首を横に振るだけだった。 |