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…と、いうことがあって、アサギシティをあとにした私たちは一度エンジュまで戻り、そして現在、チョウジタウンを目指して東へと足を向けている。

「なんか嫌な天気だよねぇ」

空はうっすら暗く、程なくして雨が降り出しそうな特有の湿り気を帯びている。
夏、梅雨の季節特有の空気だ。
もう少し湿度が上がれば、例の頭痛がやってくるだろうか。
(そう考えてたら少し憂鬱になってきた)

「あーヤダヤダ。こんな日は羽が湿気るから嫌なのよぅ」

「右に同じく。早よこの時期終わらんかな」

湿気が得意でない風音と炬はぶちぶちと文句を垂れる。
ほんとはチョウジまで風音に乗っけてもらえないかな、とか思ったりしたけど、湿気でご機嫌ナナメなようなのでやめた。
それに、歩くのは嫌いじゃない。

「俺さ、雨は嫌いじゃないけど、この空気は苦手ー」

そう言って翡翠が頭の後ろで手を組んだ。

「あら、翡翠くん。腕のところ、ほつれてるわ」

「え、マジ?!どこ?!」

「ううん、そこじゃなくって、」

そう言ってなぎが翡翠の腕に触れた、瞬間。

ばちっと、一際大きな静電気が起こった。

「いってぇ!」

「あ、ごめんなさい翡翠くん!」

「や…いいって、なぎ悪気ないの知ってるし」

苦笑して翡翠は渚楽に言った。
翡翠も成長したもんだなぁ…なんて、感慨にふけっていると、ちょいちょいと袖を引っ張られた。

「どしたの、蒼衣」

「カナエ…なぎの静電気、おかしいのに気付かなかった?」

「おかしいって、何が?」

「なぎがさっき翡翠に触ったのは、服の上から」

「だから、それが――」

何、と言おうとしたところで、気付いた。
セーターでもないのに服の上から触って、あんなに大きな静電気って起こる?
原型のなぎなら有り得るかもしれないけど、今はみんな擬人化をとっている。

辺りをキョロキョロと見回していた蒼衣が、ある一点を見据えた。

「カナエ…来る!」



どぉん…!

雷鳴と共に、それは私たちの前に現れた。


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