7


お互いの攻撃がぶつかり合って、砂埃が立ち込める。
その砂埃の中に立っていたのは――、


「風音!」

『カナエ、勝ったわよ』

ぱちん、とウィンクしそうな仕草で、風音は私の元へ戻ってきた。
私は風音を受け止めて、羽を撫でてやる。

すると、なんだか…
風音の体がきらきらしてるように見えた。
ううん、見える。
これはもしかして、

そうしてる間にも光は段々強くなり、風音は腕の中で姿を変える。

「かざ、」

それは、私の手ではもう抱え切れないくらいの大きさまで進化した、ピジョット。

「わー!風音、おめでとう!」

「いやぁ、まいったまいった!」

豪快に笑いながら、シジマさんが近付いてきた。

「始めはお前さんたちのことを心配していたんだが、言うほど心配する必要もなさそうだな」

「いえ…ありがとうございます、シジマさん」

「あのガーディ、心を鍛えればまだまだ強くなる。行き詰まったら、またここに修業にくるといい」

「はい!」

ポケモンセンターに帰ったら、炬と話をしよう。

揺らいでもいい。
立ち止まっても、振り返ってもいい。
最後には、まっすぐ前を向いていよう。

炬を、みんなを受け止めるくらいの度量はあるから。ある、つもりだから。


ジムの外に出ると、眩しいくらいの太陽が降り注いでいた。
夏は、もうすぐそこまで来ている。

「カナエ」

いつの間にか擬人化した風音が隣に居た。
ピジョンのときとは少し違って、普通の着物を肩口で着崩して長い髪をサムライのようなポニーテールにしている。
なんだか、遊女みたいで色っぽい。

「何、風音?」

「帰りさ、アサギまでアタシに乗ってきなよ。翡翠、あいつ海ダメでしょ」

確かに、波乗りでも船でも酔ってたから、その方がいいかもしれない。

「ありがと、風音。そうさせてもらうよ」

そういえば、空を飛ぶのはこの世界に来て最初以来だ。
そう考えたら、少し楽しみになってきた。


[*prev] [next#]




「#幼馴染」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -