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シジマさんが次に出して来たニョロボンは、柔道とかの試合開始みたいに一礼をして、半身になって構えを取った。
多分、さっきのオコリザルよりも、強い…!
風音もそれを感じ取ったのか、少し緊張したのが伝わってきた。

「風音、先手必勝!電光石火!」

『了解!』

「ならばニョロボン、見切り!」

スゥ、と目を細めてニョロボンは風音を見据える。
風音の攻撃が、当たる直前。
風音の動きを見切ったニョロボンは、攻撃を受け流した。

『ちょっとぉ、それセコくない?』

『何を言う。見切りとは、立派な格闘技のうちのひとつ。何もセコいことなどない』

先制するのに失敗した風音はぶーぶー文句を言ったが、ニョロボンはそれを一蹴した。

「よぉし!ニョロボン、冷凍パンチだ!」

「風音!ぎりぎりまで引き付けて、かわして啄む!」

『オッケィ!』

ニョロボンの拳に冷気が集まる。
そしてそれを渾身の力を込めて風音に向かって打ち込む。

風音は寸前でその拳をかわそうとする、が、

『っ…?!』

避け切れず、わずかに掠ってしまった。

「風音!」

『これくらいヘーキ!』

言って風音は数回大きく羽ばたいて体勢を立て直し、

『じゃ、お返しよぅ!』

ばさり、と羽ばたいた翼を止めて、そのまま急降下してニョロボンに向かっていった。

『!』

『悪いわねぇ、ゴチソーサマ』

攻撃の瞬間。
ニョロボンの持っていたオボンの実をくちばしでさらい、咀嚼する。

『く…!卑怯だ!』

『あぁら、これだって立派な技よぅ?』

さっきのお返しとばかりに楽しそうな風音。
(この子、将来大物になるわ)

『ごめんねぇ、体力回復させてもらっちゃってさ!カナエ、一気にケリつけるわよ!』

不敵に笑う風音はなんとも心強い。
そうだ、信じるってこういうことだ。

「よし!風音、空を飛ぶで決めちゃえ!」

「なんの!ニョロボン、もう一度冷凍パンチだ!」

風音が、ニョロボンが。
お互いの力を出し切って、ぶつかり合う。


そして――


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