6 シジマさんが次に出して来たニョロボンは、柔道とかの試合開始みたいに一礼をして、半身になって構えを取った。 多分、さっきのオコリザルよりも、強い…! 風音もそれを感じ取ったのか、少し緊張したのが伝わってきた。 「風音、先手必勝!電光石火!」 『了解!』 「ならばニョロボン、見切り!」 スゥ、と目を細めてニョロボンは風音を見据える。 風音の攻撃が、当たる直前。 風音の動きを見切ったニョロボンは、攻撃を受け流した。 『ちょっとぉ、それセコくない?』 『何を言う。見切りとは、立派な格闘技のうちのひとつ。何もセコいことなどない』 先制するのに失敗した風音はぶーぶー文句を言ったが、ニョロボンはそれを一蹴した。 「よぉし!ニョロボン、冷凍パンチだ!」 「風音!ぎりぎりまで引き付けて、かわして啄む!」 『オッケィ!』 ニョロボンの拳に冷気が集まる。 そしてそれを渾身の力を込めて風音に向かって打ち込む。 風音は寸前でその拳をかわそうとする、が、 『っ…?!』 避け切れず、わずかに掠ってしまった。 「風音!」 『これくらいヘーキ!』 言って風音は数回大きく羽ばたいて体勢を立て直し、 『じゃ、お返しよぅ!』 ばさり、と羽ばたいた翼を止めて、そのまま急降下してニョロボンに向かっていった。 『!』 『悪いわねぇ、ゴチソーサマ』 攻撃の瞬間。 ニョロボンの持っていたオボンの実をくちばしでさらい、咀嚼する。 『く…!卑怯だ!』 『あぁら、これだって立派な技よぅ?』 さっきのお返しとばかりに楽しそうな風音。 (この子、将来大物になるわ) 『ごめんねぇ、体力回復させてもらっちゃってさ!カナエ、一気にケリつけるわよ!』 不敵に笑う風音はなんとも心強い。 そうだ、信じるってこういうことだ。 「よし!風音、空を飛ぶで決めちゃえ!」 「なんの!ニョロボン、もう一度冷凍パンチだ!」 風音が、ニョロボンが。 お互いの力を出し切って、ぶつかり合う。 そして―― |