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「炬、炎の牙!」

「オコリザル!空手チョップだ!」

…あれから、タンバについて一夜明けて。
私たちは、目的だったタンバジムへ挑戦していた。
正直、昨日の今日で炬を出すか迷った。
でも、ジムに挑戦する少し前に、炬自身が戦いたいと言ってきたから。
だから、炬に任せた…けれど、やっぱり動きに精彩を欠いてる。
なんていうか…動きに迷いがあるような。

シジマさんのオコリザルの空手チョップを屈んでかわし、炎を纏った牙で攻撃する…はずが、タイミングが一瞬、遅れた。
そして、その一瞬が相手にとっては絶好のチャンスで、こちらにとっての絶対のミスだった。

『ぐっ…!』

攻撃を避けきれず、背中に空手チョップをくらい、苦しそうにうめき声を上げた。

「ふーむ」

床に叩き付けられた炬を見て、シジマさんが唸った。

「カナエ、といったかな?お前さんのガーディは確かに強い。しかし、それは力としての話。どんなに強い者でも、心の…精神の鍛練を怠ってはいかん」

「心の鍛練…」

普段は飄々としてる掴み所のない炬だけど、よく見てると一番カッとしやすいのも炬だったりする。
きっと今が炬にとって成長のための壁で、これを乗り越えなくちゃいけない。
挫折したら、そこから何かを学べばいい。

「ワシらは道場で肉体だけを鍛えるわけではない。心を、精神を同時に鍛えているのだ。だから、そのままではワシには勝てんよ」

シジマさんの言葉に反応するように、炬がゆっくり立ち上がった。

『ふん…勝てんかどうかなんて、やってみんとわからんやろが』

…そうだ!
体力のかなり削られた今だからこそ力を発揮する技がある…!

「炬!起死回生!」

「ほぉう!ならオコリザル、威張って相手を挑発しろ!」

シジマさんの指示と共に、オコリザルは口の端を上げた。
まずい…!
案の定、炬は目の色を変えて唸り声を上げている。



そして、炬は地面を蹴った。


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