4 「炬、炎の牙!」 「オコリザル!空手チョップだ!」 …あれから、タンバについて一夜明けて。 私たちは、目的だったタンバジムへ挑戦していた。 正直、昨日の今日で炬を出すか迷った。 でも、ジムに挑戦する少し前に、炬自身が戦いたいと言ってきたから。 だから、炬に任せた…けれど、やっぱり動きに精彩を欠いてる。 なんていうか…動きに迷いがあるような。 シジマさんのオコリザルの空手チョップを屈んでかわし、炎を纏った牙で攻撃する…はずが、タイミングが一瞬、遅れた。 そして、その一瞬が相手にとっては絶好のチャンスで、こちらにとっての絶対のミスだった。 『ぐっ…!』 攻撃を避けきれず、背中に空手チョップをくらい、苦しそうにうめき声を上げた。 「ふーむ」 床に叩き付けられた炬を見て、シジマさんが唸った。 「カナエ、といったかな?お前さんのガーディは確かに強い。しかし、それは力としての話。どんなに強い者でも、心の…精神の鍛練を怠ってはいかん」 「心の鍛練…」 普段は飄々としてる掴み所のない炬だけど、よく見てると一番カッとしやすいのも炬だったりする。 きっと今が炬にとって成長のための壁で、これを乗り越えなくちゃいけない。 挫折したら、そこから何かを学べばいい。 「ワシらは道場で肉体だけを鍛えるわけではない。心を、精神を同時に鍛えているのだ。だから、そのままではワシには勝てんよ」 シジマさんの言葉に反応するように、炬がゆっくり立ち上がった。 『ふん…勝てんかどうかなんて、やってみんとわからんやろが』 …そうだ! 体力のかなり削られた今だからこそ力を発揮する技がある…! 「炬!起死回生!」 「ほぉう!ならオコリザル、威張って相手を挑発しろ!」 シジマさんの指示と共に、オコリザルは口の端を上げた。 まずい…! 案の定、炬は目の色を変えて唸り声を上げている。 そして、炬は地面を蹴った。 |