2 火花が散る、というのは、多分こういうことを言うのだろう。 船内の談話室。 そこに渦中のメンツが揃っていた。 「ねぇ、ちょっとあんたたち何やってるのよー」 とりあえず一番近くにいたなぎに聞くと、 「よくわからない…普通にお話してたと思うんだけど、気付いたら…」 駄目だ、あまり手掛かりがなかった。 ともあれ、傍観してても喧嘩が収まるわけでもない。 口論は更にヒートアップしている。 「なんやねん、自分そんな澄まして何様?!」 「あら、そんなにがさつな貴女に言われたくないわ」 「がさつやって?!」 「はいはい、ストーップ」 パンパン、と手を叩いて間に入ると、まだ言い足りなさそうだけどとりあえず2人とも口を閉じた。 「風音が走って呼びに来たと思ったら…あんたたち、何やってるのよ?」 「だって垂が、」 「だって炬が、」 示し合わせたように綺麗にハモって、またお互いそっぽを向く。 やれやれ… 「で、何だってそんな喧嘩してたのよ?」 「だってね、カナエ。炬ったらひどいのよ。私の氷なんて、たいしたことないって」 「何言うてんの!自分が、"この中やったらあたしがいっちゃん強い"とか言うからやんか!」 「あら、タイプ的にはそうじゃなくて?」 再び睨み合いを始める2人。 なるほど、だいたいの原因はわかった。 「ねぇ、カナエ。カナエはどう思う?」 「あたしの方が強いやんなぁ?」 どう、ったって… 「炬。それに、垂も。私は、どっちかが一番だなんて思ったことないよ。みんな、それぞれに強いところがあるでしょ?」 ね、と諭すように言えば、垂は「まぁ、それはそうねぇ」と頷いたが、炬は納得してないのかもごもごと何かを呟いている。 …そして、 「っ、」 ぷい、と。 談話室から、炬は出ていってしまった。 「炬!」 ちょっと炬のとこ行ってくる、と言って、炬の走り去った方へ私も向かった。 |