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火花が散る、というのは、多分こういうことを言うのだろう。
船内の談話室。
そこに渦中のメンツが揃っていた。

「ねぇ、ちょっとあんたたち何やってるのよー」

とりあえず一番近くにいたなぎに聞くと、

「よくわからない…普通にお話してたと思うんだけど、気付いたら…」

駄目だ、あまり手掛かりがなかった。
ともあれ、傍観してても喧嘩が収まるわけでもない。
口論は更にヒートアップしている。

「なんやねん、自分そんな澄まして何様?!」

「あら、そんなにがさつな貴女に言われたくないわ」

「がさつやって?!」

「はいはい、ストーップ」

パンパン、と手を叩いて間に入ると、まだ言い足りなさそうだけどとりあえず2人とも口を閉じた。

「風音が走って呼びに来たと思ったら…あんたたち、何やってるのよ?」

「だって垂が、」
「だって炬が、」

示し合わせたように綺麗にハモって、またお互いそっぽを向く。
やれやれ…

「で、何だってそんな喧嘩してたのよ?」

「だってね、カナエ。炬ったらひどいのよ。私の氷なんて、たいしたことないって」

「何言うてんの!自分が、"この中やったらあたしがいっちゃん強い"とか言うからやんか!」

「あら、タイプ的にはそうじゃなくて?」

再び睨み合いを始める2人。
なるほど、だいたいの原因はわかった。

「ねぇ、カナエ。カナエはどう思う?」

「あたしの方が強いやんなぁ?」

どう、ったって…

「炬。それに、垂も。私は、どっちかが一番だなんて思ったことないよ。みんな、それぞれに強いところがあるでしょ?」

ね、と諭すように言えば、垂は「まぁ、それはそうねぇ」と頷いたが、炬は納得してないのかもごもごと何かを呟いている。

…そして、

「っ、」

ぷい、と。
談話室から、炬は出ていってしまった。

「炬!」

ちょっと炬のとこ行ってくる、と言って、炬の走り去った方へ私も向かった。


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