5


「お…終わった…!」

それは夏も近付くこの季節なら、間もなく空が白みはじめる頃。
まさか今日中にあらかた終わるなんて思ってなかったが、案外手分けすれば何とかなるもんだ。
(まあ、寝不足は否めないけどしかたない)
(蒼衣なんて半分舟をこいでいる)

「カナエー、もうこんなもんでいいー?」

一番遠くで作業していた風音が戻ってきて、どさりと持っていた荷物を下ろした。
一見何もないようで、砂浜いっぱいに隠れていた"それら"は、集めてみると用意した袋いっぱいに集まった。

「うん、いいよー。ありがとね、風音」

『カナエちゃん、フラッシュはもういいかしら?』

「あ、ごめんなぎ!もういいよ、お疲れ様」

アカリちゃんが回復して灯台に明かりが戻ったとはいえ、海岸からは少し遠い。
だから、アカリちゃんと同じデンリュウに進化したなぎには、フラッシュで私たちの作業のために海岸を照らしてもらっていたのだ。

「なぁ、姉ちゃん。今からちょっとだけでも休まんか?さすがにちょっと眠ぅてかなわんわ」

くぁ、と大きなあくびをつきながら炬。
そだね、炬やなぎ、それに蒼衣は今日バトルまでしたもんね。
(悪いことしたなぁ、と少し反省)

「あー、俺も炬に賛成ー。どうせすぐ起きるけど、ちょっと休みたいかなー」

あと少しもすれば朝日が昇り、翡翠の起きる時間になる。
私だって眠くないわけじゃなく、むしろすごく眠い…と、いうより、眠気の臨界点を突破した感じ。
かといって休みたくないわけじゃなくて、私たちはつかの間の休息のために、アサギのポケモンセンターへと戻った。

ジョーイさんがすごく驚いていたけれど、私たちの達成感に満ちた顔をみて、優しく微笑んだ。


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