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「カナエさん、本当にありがとう。アカリちゃんが元気になって、アサギの街もやっと活気が戻るわ」

「ううん、気にしないで!私が行きたくて行ったんだしさ」

夜もすっかり更けた頃。
私たちは、アサギの灯台をあとにした。
ミカンさんは、どうやら今晩は一応アカリちゃんの側に残るらしい。
ふと、振り返れば灯台は明々とアサギの海を照らしていて、すごく綺麗。

「さて、と」

アカリちゃんの件は、もう心配ないだろう。
まだ本調子じゃないかもしれないけど、あんなにも綺麗に海を照らしているんだから。
きっと、すぐによくなるはず。
そんな確信を胸に、私は今晩のもうひとつの目的地へと足を向ける。

「カナエー?ポケモンセンター、過ぎたわよぅ?」

「うん。あの子との約束があるから、」

私をタンバへ連れて行って欲しいと彼女にお願いしたとき。
彼女は、こう言った。

「そうね…何でもいいわ。守ってくれなくったっていい。何かひとつ、信じさせて欲しい」

…正直、何ができるかわからない。
今でも、これでいいのか悩んでる。
でも、これくらいのことなら私にだってできるはず。

きっとこれは、人間を憎んでいるはずの彼女がくれた、最後のチャンス。

「ここって、」

そう。
私がやってきたのは、アサギの海岸。
彼女…パウワウと出会った場所。
今晩はさすがに来ていないようだ。
その方が、いいかもしれない。

「蒼衣、あれもらってきてくれた?」

少し遅れて合流した蒼衣は、にこりと頷いた。
蒼衣には、途中のポケモンセンターであるものをもらってきてもらったのだ。
それを皆に配って、私たちは行動を開始した。


夜が明けるまで、あと数時間。


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