4 「カナエさん、本当にありがとう。アカリちゃんが元気になって、アサギの街もやっと活気が戻るわ」 「ううん、気にしないで!私が行きたくて行ったんだしさ」 夜もすっかり更けた頃。 私たちは、アサギの灯台をあとにした。 ミカンさんは、どうやら今晩は一応アカリちゃんの側に残るらしい。 ふと、振り返れば灯台は明々とアサギの海を照らしていて、すごく綺麗。 「さて、と」 アカリちゃんの件は、もう心配ないだろう。 まだ本調子じゃないかもしれないけど、あんなにも綺麗に海を照らしているんだから。 きっと、すぐによくなるはず。 そんな確信を胸に、私は今晩のもうひとつの目的地へと足を向ける。 「カナエー?ポケモンセンター、過ぎたわよぅ?」 「うん。あの子との約束があるから、」 私をタンバへ連れて行って欲しいと彼女にお願いしたとき。 彼女は、こう言った。 「そうね…何でもいいわ。守ってくれなくったっていい。何かひとつ、信じさせて欲しい」 …正直、何ができるかわからない。 今でも、これでいいのか悩んでる。 でも、これくらいのことなら私にだってできるはず。 きっとこれは、人間を憎んでいるはずの彼女がくれた、最後のチャンス。 「ここって、」 そう。 私がやってきたのは、アサギの海岸。 彼女…パウワウと出会った場所。 今晩はさすがに来ていないようだ。 その方が、いいかもしれない。 「蒼衣、あれもらってきてくれた?」 少し遅れて合流した蒼衣は、にこりと頷いた。 蒼衣には、途中のポケモンセンターであるものをもらってきてもらったのだ。 それを皆に配って、私たちは行動を開始した。 夜が明けるまで、あと数時間。 |