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ミナキさんが私に握らせてくれたのは、拳大の大きさで少し透明感のある赤い石。

「ミナキさん、これ…、」

「炎の石。ガーディが進化するには必要だろう?僕のポケモンにも、スイクンにも、これは必要ないからね」

「ありがとうございます!…あ、ミナキさんごめんなさい。私、そろそろ行かないと、」

そうだ、私もゆっくりバトルの余韻を楽しんでいる場合じゃない。
早く薬屋さんに向かわないと、

「そういえば、どうして君はわざわざ強風の中タンバに来たんだい?ジムなら明日でもいいだろうに」

立ち止まったままなのもなんなので歩きながら事情を話すと、
「どうしてそれを早く言わないんだ!」
と言われたけれど、だって聞こうとしなかったじゃないですか、と反論する気力もなく、ええまあ、と曖昧に返すしかなかった。
(私は確かに何度も急いでると言った)
(世の中なんていうのはそんなものだ)

そうこうしているうちに、目的地であるタンバの薬屋さんにつき、店の前で別れた。

「スイクンが立ち去った以上、僕がタンバに居る理由はないからね」

…だ、そうで。
別れ際、遠く水平線を見て、ミナキさんは呟くように言った。

「君がスイクンに認められた理由はわからない…けれど、僕も君のように、スイクンに認められるよう努力しよう」

その目に宿していたのは、確固たる強い意志。
ばさ、とマントを翻し、ミナキさんは私の前から立ち去った。
…最後まで本質的なところを盛大に勘違いしていたけれど。


そのあとすぐに薬を手に入れて、待ちくたびれたパウワウに
『ほんとにアサギに帰ろうかと思ったわ』
と呆れられたものの、パウワウは行きと同じく私たちをアサギへと送ってくれた。

行きとは違って風は穏やかなもので、アサギに着いた頃にはすっかり陽も暮れていた。

急ごう、灯台まで――!


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