6


あれからものの数分で炬とゴーストの戦いは決着した…と、いうか、炬の圧勝だったというか。
(重ね重ねいうが、ミナキさんのゴーストには罪はない)

見たところ、ミナキさんのポケモンはあと1体。
これが終われば、

「驚いたよ…だけど、僕だってまだ負けたわけじゃない!」

ミナキさんが出した、最後の1体…スリープは、出て来るなり不思議な動きをしてみせた。

『なんや、けったいな奴やなぁ』

ぴたり、と。
その動きを止める。

「スリープ、催眠術!」

しまった、と思ったときにはもう遅く、炬はスリープから視線を外すことができず、うつらうつらと船を漕ぎ始めた。

「…っ!炬、戻って!」

スリープ相手に眠りっぱなしはまずい…夢喰いをくらえば、ダメージは大きい。

「どうだい、カナエ君!君がどうしてスイクンに選ばれたかはわからないが…僕だってずっとスイクンを追い続けていたんだ!そう簡単には、負けない!」

私はスイクンを追ってるわけじゃないんだけどなぁ…
ミナキさんは、なんていうか思い込みの激しいタイプのようで、最早私の話など耳に入っていないようだ。
でも、このスリープを倒せば、

「なぎ、お願い!」

『任せて、カナエちゃん』

一度振り返って、なぎは頷いた。
進化してなんだかその背中が頼もしいのは、気のせいじゃない。

「スリープ、もう一度催眠術だ!」

「なぎ、相手の目を見ないで!充電で力を溜めて!」

スリープの術がかかるより早く、なぎは目を閉じて自身の周りに電気を纏わせる。

「目をつむるならそれで好都合!スリープ、はたく!」

スリープがその手を振りかぶり、なぎに振り下ろした、瞬間。

『?!』

ばちぃ!と何かに弾かれたかのようにスリープは手を引っ込める。
よし!

「何だ…?どうした、スリープ!」

「麻痺、ですよ。モココの特性は、静電気」

「くっ…!」

そのうえ、充電で体に電気を纏わせていたから、なおさらだろう。
今のうちに、

「なぎ、電気ショック!」
ばちばち、と電気が生み出した火花が散り、そして――、


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