5


ぱた、と。
倒れたのは……蒼衣。

「ありがと、お疲れ様」

蒼衣をボールに戻してやり、足元に目を向ける。

『なんや、出番か?』

「うん…よろしく、炬」

『応よ、蒼やんの仇はとったる』

いや炬。
蒼衣生きてるからね?
ボールで休んでるだけだからね?
まあ、瀕死なのであながち間違いではないけど、それにしても、

「まぁいいや…炬、よろしく」

フン、とひとつ、鼻を鳴らして一歩前へ。

「へぇ、ガーディじゃないか。まあ、同じことだよ。マルマイン、ソニックブーム!」

「炬、火炎車!」

ごう、と炬は体に炎を纏い、マルマインに向かって走り出す。
マルマインが生んだ刃をかわし、そして。

『同じかどうか、試してみぃや!』

勢いを殺さず、マルマインを巻き込み、

『ざまぁ、』

ごろ、と。
今度は、体勢を立て直すことなくマルマインは目を回した。

「く…、戻れ!」

ミナキさんは眉を寄せ、マルマインをボールへ戻す。

「驚いたよ。まさか、君がマルマインを破るなんて」

「どうも…あの、ミナキさん。私できれば急いでるんで、」

「でも!次は簡単にはやられないよ!」

ああ、また人の話を聞いてない…
半ば諦めも入り、私も炬に指示を出す準備をする。

「今度はこいつだ。いけ、ゴースト!」

途端。
炬の目の色が変わった。
ゴーストを威嚇し、睨み付けている。
…そういえば、

『あんたに恨みはないけども、エンジュの若造んとこのおかげでな』

マツバさんのゴーストに"呪い"でじわじわとダメージを与えられたのを、しっかりと覚えているようだった。

…でもね、炬。
逆恨みっていうんだよそれ。

かくて、ゴーストにとって理不尽で不条理でしかないバトルが始まった。


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