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「まず、これから言うことは全て本当だって、信じて欲しいんです」

上手く話せる自信はありませんが、と前置いて、簡潔に話し始めた。

雨が降っていたこと。
買い物に出たら急に光に包まれたこと。
光の中を彷徨い、気付いたら街から少し外れた草むらに落ちたこと。
彼…蒼衣と出会ったこと。
するとお巡りさんはひどく驚いた顔をして、「まさか、そんな」と呟いた。

私だって未だに信じられない。

ちょっと待ってて、と言いおいてお巡りさんは交番の奥へ消えた。
話し声が微かに聞こえる。
電話、だろうか。

「カナエさん」

電話を終えたお巡りさんが戻ってきた。

「今日はこの奥の仮眠室に泊まるといいよ。あまり広くはないけどね。明日になれば、君に会ってみたいって人が迎えにきてくれるから」

ゆっくり休むといいよ、とお巡りさんは笑った。
いつの間にか、涙は乾いていた。


「この世界にはね」

そう言いながら、ベルト辺りに着いていた小さなボールを一つ取り外した。
するとそれは野球ボールか、それより少し大きいくらいだろうか。突然、大きくなった。

あれ、これって……

放り投げると中から光が溢れ、其処には赤い犬のような生き物が居た。

「ポケットモンスター…ポケモンと呼ばれる生物がたくさん居る。こいつは俺の相棒のガーディ」

がう!とガーディと呼ばれた生き物は鳴いた。
間違いない。

「君の連れているラルトスはこの地方じゃ滅多に現れないんだけど…このコガネの手前の道路でたまに大量発生するみたいでね……どうしたんだい、そんな不思議そうな顔をして」

「あの、ええと…今、ポケットモンスター…ポケモン、と、言いましたよね」

「ああ」

「そのポケモン、という生き物は…私の居たところでは、架空の…そう、ゲームの中にしか存在しない、実在しない生き物なんです」

「そんな、まさか」

お巡りさんは驚きを隠せない風にいう。

「信じられないかもしれませんけど…私の元々居たところには、ポケモンなんていなくて、代わりに犬や猫っていう…外見は似てるけど、でも、ポケモンみたいに不思議な技なんて使ったりしない、そんな生き物達が居たんです」

「よくわからないけれど…君は、じゃあ、そのゲーム…架空の世界として、ポケモン達を知っていた?」

「はい。ただ…私が知っているのはその途中の作品までなので、このラルトスは知らないんですけど」


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