3 「まあ、不思議なこともあるもんだわねぇ」 少し長くなってしまった私の話が終わり、しみじみと風音は呟いた。 結局…どこから話していいかわからなかったっていうのと、私のことを少し、知って欲しかったのとで、話が長くなってしまった。 みんな、それぞれに感想を持ったようで、頷いたり考え込んだりしている。 「でも、ポケモンの居ない世界なんて…想像できないわ」 「あたしも。なぁなぁ、どんなところやったんや?姉ちゃんがおったとこ」 興味津々。 少し炬が身を乗り出した。 「あ、それ俺も知りたい」 「そうだなぁ…ビルもあったし公園もあったし…ポケモンはいないけど色んな動物たちがいたし、こことあまり大きくは変わらないけど、」 「けど?」 「少し…窮屈、だったかな」 年々自然が減っていって、昔遊んだ公園は気がついたら鉄筋の建物で。 大きくなるにつれて、世の中のルールに縛られて。 少し、息が詰まりそうだった。 「カナエ。カナエは、ここに来たこと後悔してる?」 しばらく何かを考えていた蒼衣が、唐突に言った。 「ううん、後悔なんかしてないよ」 最初は不安で仕方なかった。 なんで、どうして。そんな気持ちもあったかもしれない。 でも、今なら言える。 私は、この世界に来たことをただの「運命」なんて言葉では、片付けたくないって。 だって、 「蒼衣に翡翠、風音になぎ、それに炬…みんなに、出会えたからね」 こんなにも素敵な、私の仲間たちに会えたんだから。 両手で抱えることができないくらいの、私の大切な仲間たちに。 |