6 戦いは…佳境に入っていた。 マツバさんのゲンガーは毒タイプを合わせ持っているお陰で蒼衣のエスパー技で体力を削られ、蒼衣もまたゲンガーのゴースト技で体力は残り僅か… 多分、次のお互いの攻撃で、勝負は決まる。 「ゲンガー、シャドーボール!」 「蒼衣、サイコキネシス!」 それは全く同時だった。 ゲンガーの手に黒い影の塊が生まれ、蒼衣の見えない力が生まれる。 そして、 「…よくやった、ゲンガー」 「蒼衣!」 土煙が収まったその場所に倒れていたのは…マツバさんの、ゲンガー。 「まいったよ、ゲンガーが倒されるのなんて久しぶりだ」 「いえ…私はただ、蒼衣を信じていただけですから」 「信じる力…か。悪くない。一休みしたら、少し時間はいいかい?」 奥の小部屋で休むといいよ、私たちはその一室に案内された。 ぱたり、と扉が閉まる。 『…カナエ、』 しばらくの沈黙のあと、蒼衣は口を開く。 『僕たちにとっての怖いことは、カナエがいなくなること』 だから、そのために戦う…と。 「ありがと、蒼衣……あら?」 蒼衣の体がなんだかきらきらしている。 気のせい? …ううん、それは段々と強くなって蒼衣の体を包み込み、そして 「蒼衣…、もしかして、進化?」 蒼衣も不思議そうに自分の体を見つめ、そして頷いた。 『そう、みたい』 「おめでと、蒼衣…ねえ、ラルトスの次は何ていうの?」 『僕は…僕は、キルリア』 「キルリア…ね。さ、そろそろマツバさんも待ってるし…行こうか」 私は立ち上がり、蒼衣を促す。 蒼衣もそれに続き、私たちは部屋を出た。 |