6


カナエ、カナエ…

その夜、夢を見た。

夕日に染まる街の中。
私は、一人塔を見上げていた。
私はここを知っている。
知っているけれど、知らない。

しゃらららら、

鈴の音と共にオレンジ色の大きな影が辺りを包んだ。

カナエ、カナエ…
愛しき仔…

遠く、近く。
私を呼ぶのは、温かい声。

時がきたら、いづれ
彼の塔で…



深く、深く
ゆるゆると、私の意識は落ちてゆく


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