5 「あれ、カナエさんじゃん!それに、お前…シルバー!」 突然の乱入者の声によって、その空気は破られた。 その声の主は、 「ヒビキくん!」 コガネの手前で再会した、ヒビキくん。 早いなぁ、もう追い付いたんだ。 「ちっ…」 舌打ちをしてシルバーくをは構えたボールを下ろし、つかつかと出口の方へ歩き出す。 「あ…!」 「おい、シルバー!」 引き止める間もなく。 私たちの前から、シルバーくんは姿を消した。 「行っちゃった…」 「カナエさん、大丈夫?」 「私は平気。それよりも、バトルで蒼衣が倒れちゃったから休ませてあげないと、」 蒼衣の入ったボールを撫でる。 中で弱々しく、蒼衣が動いた。 「じゃあ、カナエさんはポケモンセンターだね」 「ヒビキくんは?」 「俺も一緒に行きたいけど、アイツ見付けたしなー…まだその辺いるかもしんないから、ちょっと探してくるよ」 「そっか。がんばってね」 ぐ、と親指を立てて、ヒビキくんはシルバーくんを追って、焼けた塔から出て行った。 「カナエちゃん…俺、次アイツと会ったら、何が何でも戦うよ」 「アタシも。なーんか、いけ好かないわぁ」 2人が出て行った出口を見つめて、翡翠と風音が呟いた。 「うん…とりあえず、ポケモンセンター行こっか」 2人とも揃って頷き、私たちは焼けた塔をあとにした。 気付けば陽はだいぶ傾いてきて、辺りは綺麗なオレンジ色に染まっていた。 エンジュシティは夕焼けが似合うなぁ、なんて。 何となく、そんなことを思った。 |