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「マグマラシ!スピードスター!」

シルバーくんが出してきたのは、いきなり切り札であろうマグマラシ。
早々にケリを付けるつもりか…ならば、

「蒼衣、瞑想!」

スゥ、と蒼衣が集中力を高めると、その周りの空気が変わった。
マグマラシの放ったスピードスターは、蒼衣の周りに生まれた斥力に弾かれる。

「いいよ蒼衣、そのまま念力!」

「ちっ…!マグマラシ、火炎車!」

ごう、とマグマラシの炎が強くなり、蒼衣を巻き込む。勢いを殺さずにぐるり、と回転をすると、素早く蒼衣から離れる。
炎と回転とで、蒼衣のダメージが大きい…
ふらふらとよろめいているところをみると、体力は僅か。

「くそ…俺が今原型だったら…!」

噛み殺すような翡翠の呟き。
翡翠の気持ちは痛いくらいわかる。
でも…今、シルバーくんの目の前でベイリーフに戻ってもらうわけにはいかない。
ごめんね、翡翠。

「蒼衣、サイコキネシス!」

瞑想で力を高めた状態でのサイコキネシス。
シルバーくんのマグマラシは"見えない何か"に苦しみ、そして

「…っち、使えないやつだ」

…!
倒れたマグマラシを舌打ちながらボールに戻す。

「使えないだなんて、ひどい…」

「ふん、お前には関係ない…行け、ズバット!」

聞く耳持たず。
シルバーくんはゴルバットを繰り出す。
仕方ない…か。

「蒼衣、サイコキネシス!」

「ゴルバット!噛み付く!」

しまった…!
素早さでは蒼衣が圧倒的不利。
先手を取られた上に、効果は抜群…残り少なかった蒼衣の体力が、尽きた。

「お疲れ様、蒼衣…ゆっくり休んでね」

「ふん、馴れ合いか…どいつもこいつも、」

「馴れ合いじゃないよ。私はこの子たちを信じてるし、皆はそれに応えてくれる。信頼…だよ」

そう、皆はいつだって私を信じて助けてくれる。
だから、私もそれに応えるんだ。

「わからないな…信用こそすれ、信頼だと…?」

「そうだね…ポケモンを道具として見てるうちは、わからないかもね。なぎ、お願い!」

『カナエちゃん、私もカナエちゃんを信じてるから』

なぎの言葉に、私は頷いた。


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