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「……う、そ」


もう、突然過ぎて何が何だかわからなくて、笑うしか無かった。

光が消えたそこには、黄緑の髪の小学生くらいの男の子が居た。
瞳の色は緋色。
本人も、何が起こったのかわからずにきょとん、としている。

「き…きみ、」

さらさらとしたその髪に手を伸ばすと、彼(どうやら「彼」で合っていたようだ)はびっくりしたようにこちらを見つめてきた。

「きみ…さっきの、小さな生き物?」

まさか、とは思うが一応訊いてみる。
すると彼は戸惑いながらも小さく頷き、

「らる、とす」

と、呟いた。

「それが君の名前?」

ところが、それには首を小さく横に振り

「違う。でも皆そう呼ぶ」

ふーむ…と、いうことは種族名とかそういうことだろうか。犬、とか猫、みたいな。

「犬、猫、よく知らない。でも、多分そう」

驚いた。
私の考えが分かるのか。

「少しだけ」

私の心の呟きに、返事を返した。

「じゃあ、君のことはラルトスって呼べばいいの?」

「ううん、それは厭」

「どうして」

「ラルトス、みんな一緒。名前、つけて」

つけて、って言われても…

「じ…じゃあ……蒼衣。蒼衣はどう?」

「蒼衣…うん、蒼衣!」

よかった、どうやら気に入ったようだ。
嬉しそうに私の横をついてあるく蒼衣に案内され、とうとう街に足を踏み入れた。

ここからが本当のはじまりだとは、そのときは、夢にも思わなかった。


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