4 「……う、そ」 もう、突然過ぎて何が何だかわからなくて、笑うしか無かった。 光が消えたそこには、黄緑の髪の小学生くらいの男の子が居た。 瞳の色は緋色。 本人も、何が起こったのかわからずにきょとん、としている。 「き…きみ、」 さらさらとしたその髪に手を伸ばすと、彼(どうやら「彼」で合っていたようだ)はびっくりしたようにこちらを見つめてきた。 「きみ…さっきの、小さな生き物?」 まさか、とは思うが一応訊いてみる。 すると彼は戸惑いながらも小さく頷き、 「らる、とす」 と、呟いた。 「それが君の名前?」 ところが、それには首を小さく横に振り 「違う。でも皆そう呼ぶ」 ふーむ…と、いうことは種族名とかそういうことだろうか。犬、とか猫、みたいな。 「犬、猫、よく知らない。でも、多分そう」 驚いた。 私の考えが分かるのか。 「少しだけ」 私の心の呟きに、返事を返した。 「じゃあ、君のことはラルトスって呼べばいいの?」 「ううん、それは厭」 「どうして」 「ラルトス、みんな一緒。名前、つけて」 つけて、って言われても… 「じ…じゃあ……蒼衣。蒼衣はどう?」 「蒼衣…うん、蒼衣!」 よかった、どうやら気に入ったようだ。 嬉しそうに私の横をついてあるく蒼衣に案内され、とうとう街に足を踏み入れた。 ここからが本当のはじまりだとは、そのときは、夢にも思わなかった。 |