7 「単刀直入に聞こう。君は、何者だい?」 マツバさんのストレート過ぎる質問に、どう答えたものか迷った。 マツバさんの言葉を引き継ぎ、ミナキさんが続ける。 「さっき君がここに降り立ったとき…スイクンが君のことを意識していたな。私は長年スイクンを追っているが、スイクン自ら人間に近付いたというのは聞いたことがないのだよ」 ライコウ、エンテイ…そして、スイクン。 確かに彼等はさっき私のことを「姫君」と呼んだ。 (無論、私は姫なんて呼ばれるような出自でも人間でもないわけだけれど) しかし、そんなことを言ったってこの2人が信じてくれるとは限らないし…第一、私だってわからないんだから。 だから、私は首を横に振るだけでその意志を示した。 すなわち、わからない。 すると、マツバさんの目がスゥと細くなる。 「本当に、わからない?」 …訂正しよう。 私は、マツバさんが苦手だっていう以上に怖いのかもしれない。 しかし、わからないものはわからないし、私が異世界から来たのは最低限の人しか知らないわけだし。 黙ったままの私を見て、これ以上は無駄だと判断してくれたか。 「そっか…じゃあ、僕はそろそろ戻るよ。ミナキ、君は?」 「そうだな…スイクンが立ち去った今、私もここに残る理由はないしな」 そう言ってマントを翻し、梯子を上っていく。 マツバさんもそのあとに続こうとし… 何を思ったか、途中で引き返して私の耳元で囁いた。 「 」 「…っ!」 じゃあね、カナエちゃん。 そう言って、マツバさんもミナキさんに続き、去って行った。 縁が"合"ったら…か。 何だかよく聞く言葉だ。 ただ、呆然と。 立ち尽くすしか、できなかった。 |