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「単刀直入に聞こう。君は、何者だい?」

マツバさんのストレート過ぎる質問に、どう答えたものか迷った。
マツバさんの言葉を引き継ぎ、ミナキさんが続ける。

「さっき君がここに降り立ったとき…スイクンが君のことを意識していたな。私は長年スイクンを追っているが、スイクン自ら人間に近付いたというのは聞いたことがないのだよ」

ライコウ、エンテイ…そして、スイクン。
確かに彼等はさっき私のことを「姫君」と呼んだ。
(無論、私は姫なんて呼ばれるような出自でも人間でもないわけだけれど)
しかし、そんなことを言ったってこの2人が信じてくれるとは限らないし…第一、私だってわからないんだから。

だから、私は首を横に振るだけでその意志を示した。
すなわち、わからない。

すると、マツバさんの目がスゥと細くなる。

「本当に、わからない?」

…訂正しよう。
私は、マツバさんが苦手だっていう以上に怖いのかもしれない。
しかし、わからないものはわからないし、私が異世界から来たのは最低限の人しか知らないわけだし。

黙ったままの私を見て、これ以上は無駄だと判断してくれたか。

「そっか…じゃあ、僕はそろそろ戻るよ。ミナキ、君は?」

「そうだな…スイクンが立ち去った今、私もここに残る理由はないしな」

そう言ってマントを翻し、梯子を上っていく。
マツバさんもそのあとに続こうとし…
何を思ったか、途中で引き返して私の耳元で囁いた。

「       」

「…っ!」

じゃあね、カナエちゃん。
そう言って、マツバさんもミナキさんに続き、去って行った。


縁が"合"ったら…か。

何だかよく聞く言葉だ。
ただ、呆然と。
立ち尽くすしか、できなかった。


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