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「君は…?」

白いマントの青年…ミナキさんが私に向かう。

「あ、えーと…歌舞練場の舞妓さんに、ここに来てみたらどうかって言われて、」

すると、ミナキさんではなく、その下に屈んでいた金髪の青年…マツバさんが驚いたように目を見開いた。
そして、おもむろに立ち上がり、ミナキさんに何かを耳打ちした。
ミナキさんの表情が一瞬強張るが、すぐに元に戻る。

しかし、私は聞き逃さなかった。
マツバさんが立ち上がるときに「そうか…君が、」と小さく言っていたのを。

どうしたものかと私が迷っていると、ミナキさんがこちらに近付いてきた。

「やあ、驚かせて悪かったね。僕はミナキ。…で、もう一人が」

「マツバだ。君は?」

何だろう…マツバさんの目は、吸い込まれそうで、全てを見透かすような…そんな目をしている。
2人とも、一般的にはかっこいいと言われるんだろうけど…ミナキさんは親しみやすさを感じるけれど、マツバさんは…少し、苦手かもしれない。

「あ…カナエ、です」

「カナエちゃん…ね。ちょっと、こっちに来てご覧」

マツバさんに促されるままに、私たちは先程2人が覗いていた床の大穴に近付く。

「静かに、ゆっくり屈んで…あそこをご覧」

ス、とマツバさんが指差す方向を見ると、そこには3匹のポケモン。
あれは…、

「見えたかい?」

私は無言で頷く。

「あの3匹はライコウ、エンテイ…そして、スイクン。エンジュの塔が焼け落ちた際に一緒に焼け死んだが…ホウオウの力で蘇ったとされている伝説のポケモンだよ」

「そして、僕はその中でもスイクンの魅力に取り憑かれてしまってね…各地を巡って、スイクンに関する情報を集めているのさ」

オォン…と床下の水のように透き通ったポケモン…スイクンがこちらを見上げて鳴いた。
それに応えるように、残り2匹…ライコウとエンテイもその声を共鳴させる。

「あの…マツバさん、ミナキさん。下に…降りてみてもいいでしょうか?」

2人は顔を見合わせ、

「試してみるといいよ。近付くことはできないだろうけどね」

マツバさんの言葉に私は頷き、翡翠と風音を連れて階下へ向かった。


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