2 そこはちょっとした劇場のような空間だった。 もちろん、舞台にロケット団という闖入者がおらず、そのロケット団に向かい合う舞妓さんが舞を舞っていれば、尚いいんだろうけど。 先程の声の主は、彼女…タマオさんか、コウメさんかはわからないけど…とにかく、この状況を何とかしなければ、舞妓さんの身も心配だし、私の目的も果たせそうにない。 「あんさん、早う出ていってくれますやろか?」 「うるせぇよ、大人しくしてろ!」 「ほんに、仕様のないお人やこと」 「あ?!」 ロケット団員が、一歩舞妓さんの方に踏み出した、その時。 「あら、まあ。そこに居てはるの、カナエはんとちやいますの」 くり、とこちらを向いて、焦りや恐怖など感じさせない様子で舞妓さんは言った。 「あ、はい。どうもご無沙汰してます」 違う違う。 私も呑気に挨拶なんてしてる場合じゃない。 「丁度ええとこに来はりました。ちょっとこの坊、何とかしてくれはりますやろか」 にこり、と優雅に。 彼女は、言った。 もちろん、私としても何とかするつもりではあったけど。 「てめぇ…もしかして、ヒワダで俺らの邪魔してくれた小娘か?」 名も知らぬロケット団員Aは私の方に狙いを定める。 まあ、確かに彼らにとっては邪魔だったろうけど、悪いことしたわけじゃないしさ。 「ま、ね。その節はどうも」 腰元のボールを確認する。 大丈夫。 「ふざけんなよ!こうなったら、お前から片付けてやる!」 言うが早いか、ボールを振りかぶって繰り出して来たのは、ドガース。 ならば、 「炬!」 そして、思いもよらない場所で、バトルは始まった。 |