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そこはちょっとした劇場のような空間だった。
もちろん、舞台にロケット団という闖入者がおらず、そのロケット団に向かい合う舞妓さんが舞を舞っていれば、尚いいんだろうけど。

先程の声の主は、彼女…タマオさんか、コウメさんかはわからないけど…とにかく、この状況を何とかしなければ、舞妓さんの身も心配だし、私の目的も果たせそうにない。

「あんさん、早う出ていってくれますやろか?」

「うるせぇよ、大人しくしてろ!」

「ほんに、仕様のないお人やこと」

「あ?!」

ロケット団員が、一歩舞妓さんの方に踏み出した、その時。

「あら、まあ。そこに居てはるの、カナエはんとちやいますの」

くり、とこちらを向いて、焦りや恐怖など感じさせない様子で舞妓さんは言った。

「あ、はい。どうもご無沙汰してます」

違う違う。
私も呑気に挨拶なんてしてる場合じゃない。

「丁度ええとこに来はりました。ちょっとこの坊、何とかしてくれはりますやろか」

にこり、と優雅に。
彼女は、言った。
もちろん、私としても何とかするつもりではあったけど。

「てめぇ…もしかして、ヒワダで俺らの邪魔してくれた小娘か?」

名も知らぬロケット団員Aは私の方に狙いを定める。
まあ、確かに彼らにとっては邪魔だったろうけど、悪いことしたわけじゃないしさ。

「ま、ね。その節はどうも」

腰元のボールを確認する。
大丈夫。

「ふざけんなよ!こうなったら、お前から片付けてやる!」

言うが早いか、ボールを振りかぶって繰り出して来たのは、ドガース。
ならば、

「炬!」

そして、思いもよらない場所で、バトルは始まった。


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