3


ガサリ、と音が止まった。

ギュ、と瞑った目をうっすら開く。

其処に居たのは。

「…こ、びと…?」

黄緑の頭に白い身体の、小さな。
こんな生物…見たことない…もぞもぞ、とその小さい生き物は近づいてくる。
そして、おもむろに私の足下に来ると、ちょいちょいと小さな手で手招きをした。

案内、してくれるのだろうか。

すると小人はこちらを振り向き、小さく頷いた。
まるで、私の考えが分かるかのように。

さっきまでどうしていいか分からず、不安でいっぱいだった私の心は。
突然現れた、この小さな生き物のお陰でだいぶと落ち着いていた。
そうこうしているうちに、前方にぽつり、ぽつりと灯が見えてきた。

街だ。
助かった、これで何とかなるかもしれない。

名も知らぬ小さな生き物は、真っ直ぐにこちらを見つめてくる。
私はかがんでできるだけ視線を低くして、その生き物に目を合わせた。

「ありがとうね。君のお陰で助かったよ」

彼…便宜上、取り敢えず彼と呼ぼう。彼は、少し照れたように身体を捩らせた。

「ふふ、かわいい」

何だかよく分からないけれど、この小さな生き物には随分勇気づけられた。
そうだ。

「はい、お礼だよ」

幸いというか、持っていた荷物は全部そのままだった。
カバンから飴をひとつ取り出し、彼の手に乗せてあげた。
彼とお揃いの、青林檎の黄緑色の飴。
受け取ってくれたものの、どうしていいか分からないのか手に持ったままなので、私はもう一つ取り出し、

「これは食べ物だよ。口に入れて、舐めるのよ」

そう言って、私は苺味の飴を自分の口に放り込んだ。
すると、小さな生き物も私の真似をして飴を口に入れ、もごもごとさせた。
その様子も何だか可愛らしい。
よほど気に入ったのか、さっきのように嬉しそうに身体を捩らせる。

すると。

彼の身体がうっすらと光を放ったように見えた。
いや、放っている。
その光は段々強くなり、そして。


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