7 『まあ、えらい不思議なこともあるもんやな』 私の説明に対する感想というか第一声は、なんともあっさりとしたものだった。 ふうん、と一人でなにやら頷き、そしてガーディは口を開いた。 『ん、まあ…あたしのお願いもしやすいってもんやし、丁度ええかもわからんな』 お願い。 彼女は最初にもそう言った。 一体、何を。 「えーっと…お願いって、私は何をすればいいのかな?」 『なに、簡単なことやで。あたしを姉ちゃんらの仲間にしてくれんやろか』 ぱちぱち、と私以下ガーディを除く全員が瞬きをした。 (いやまあ蒼衣は隠れて見えないけど) (その場の空気、というやつだ) 「君を、仲間に?」 そうや、と彼女は頷く。 『だってあたし、姉ちゃんのせいでキズモノにされたんやろ?』 「ちょ…!」 いやいや、キズモノって、確かに普通のガーディではなくなったかもしれないけれど。 (翡翠となぎが「キズモノ?」って首を傾げているのは無視だ) ガーディはまたカカ、と笑い、言葉を続ける。 『冗談やって。…あたしな、探してる奴がおるんよ。あたしのツレなんやけど、ある日人間に捕まってもうたみたいでな』 ガーディはそこで一度言葉を切り、遠くを見つめる。 『あんまりにも突然で、最後にお別れもできんかったから…一言言いたくて、探してるんよ』 気丈な彼女が初めて見せた、寂しそうな目。 きっと、探してる相手は彼女にとって大事な存在だったんだろうな。 「ねえねえ、その探してるのって、どんなヒトなのよぅ?」 風音の興味津々、という問いにガーディは『知りたいんか?』と悪戯っぽい笑みで言った。 もう、そこにはさっきの寂しそうな面影はなかった。 |