6 「じゃあ、私からの質問ね」 結局、私からガーディへの質問が先となった。 「昨日さ、私の落とし物届けてくれたのは、君だよね」 『ああ、あれな。なんや匂い辿ったら近くにおるわ、思てな』 「匂い?」 翡翠が首を傾げる。 『せや。自分知らんのか?あたしら、ごっつ鼻ええねんで』 そうだ、ガーディはこの世界では警察犬にもなるようなポケモン。鼻もいいはずだ。 「そっか、改めてありがとうね。でさ、ここからが本題なんだけど。どうして、昨日は人間の女の子の格好をしていたの?」 私の問いに、ガーディはうーんと眉を寄せる。 『あたしにもようわからんのやけど。姉ちゃんの落とし物拾ったあとくらいやったかな』 私の落とし物を拾ったあと。 ……もしかして、 「ねぇ、もしかしてさ…何か、そのとき食べたりしなかった?」 ポーチの中身を思い出す。 お財布、ハンカチ、ティッシュにリップ。 それから…、 『あー、なんや拾ったときに赤い丸いの転がりよったから、駄賃代わりにな。すまんな、腹減っててん』 …それから、キャンディの入った缶。 謎だったことが、頭の中で繋がった気がする。 「あ、あのね。君が昨日突然人間の姿になったの…その、赤い飴のせい、だと思うな」 思うっていうか、ほぼ確実にそのせいだけど。 『…?ようわからんわ。説明してくれんか?』 眉間の皺を少し深くしてガーディは言った。 どうしたものか…と悩んだけれど、彼女が飴を食べてしまったのなら仕方ない。 小さく息をついて、私はガーディに事情を説明した。 |