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「ねぇ、きみ」

ガーディは突然現れた私に逃げることなく、私を見上げる。
人懐っこい目が私の視線と重なる。

「何やってるの?」

街の入口で、一人…いや、一匹か…一匹で。

『あ、昨日の姉ちゃんやん』

ニカ、と楽しそうに目を細め、昨日のガーディは………昨日の?

「えぇえええっ?!」

昨日出会った少女をもう一度頭の中で思い出す。
朱色の髪に、人懐っこい仔犬のような……
そう、仔犬。
もう一度視線をガーディに戻す。

『なんぞ、やかましいっちゅーねん』

「あ…、ごめんね」

するとガーディは訝しげに首を傾げる。

『なんじゃ姉ちゃん、あたしの言葉わかるんか?』

「あ、えーと…うん」

わかるけど、君の言葉はわかるんだけど。
この子が昨日の女の子だっていう理由がわからなくて。

『なんや、けったいな人間やな。まあええわ。ちっとあたしの相談、聞いてもらえんやろか?』

私の思考が追い付くより早く、ガーディは私にそう提案した。
当然、私は頷くことしかできなかった。



とはいえ、流石に街の中でポケモンと会話をするのは気が引けるので、私たちは場所を移して昨日の37番道路の木陰に移動した。
そよそよと優しい風が吹き抜ける。
私の右隣になぎ、順に蒼衣、ガーディ、風音、翡翠と並び、私とガーディが向かい合う形になる。

「えーっと…相談がある、って言ってたけど…私も、君に聞きたいことがあるんだけど、いいかな?」

『聞きたいこと?』

「うん…あ、私のはあとでいいよ、まず君の相談を聞くよ」

するとガーディは首を横に振り、

『いや、相談いうか、お願いになるかもわからんからな…先そっちでええよ、それがスジってもんやろ』

カカ、と笑いながらガーディは言う。
昨日から思っていたが、やっぱりたまにオッサン臭いのは気のせいじゃなかったかもしれない。


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