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――カナエちゃんは"カッコイイ"ね

小さい頃から、友達にはよく言われてた。

――カナエちゃんが彼氏だったらいいのに。

違うよ、私は男の子じゃないよ。

――カナエちゃん、私ね―――



夢を見た。
昔の、夢。
懐かしいな…もう、忘れたと思っていたのに。
多分、昨日…私に似た彼女に会ったから。
ふと顔に手をやると、ぱり、と渇いた跡。

「カナエ、おはよう……カナエ?」

少し寝過ごしたらしい。
いつもは私が起こすまで布団にいる蒼衣は、すでに身支度を終えていた。

「カナエ、泣いてる?」

「ううん、変な夢を見ただけだよ。さ、風音になぎ!起きなさい!」

蒼衣は納得はしていないものの、それ以上干渉してこない。
私は布団から出ると、今の今まで寝ていた自分を棚に上げ、私が起こすまで起きる気のない2人を起こしにかかった。

エンジュには焼けた塔と鈴の塔の2つの塔がある。
私を導く声の言う「塔」は、もしかしたらそのどちらかかもしれない。
調べるのにどれくらい時間がかかるかはわからないけど、今日はそのどちらかだけでも行けたらいいなぁ。
そしたら、ジムは明日かな。

なかなか起きない2人を布団から出して、朝食を済ませ、私たちはポケモンセンターをあとにした。

……と。

「あれ…?」

私たちの居るところから少し離れた街の入口近く。
朱いふさふさとしたものが目に入った。
あれは…

「ガーディ?」

この世界に来て、最初の方にカイトさんに見せてもらったポケモン。

「カナエちゃん、どうしたの?」

なぎが立ち止まったままの私に声をかける。

「ちょっとね…ねぇ、あっち行ってもいいかな?」

「私はいいけど…あっちは塔の方じゃないよ?」

うん、わかってる。
でも、あのガーディが何故か気になるんだ。


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