4 ――カナエちゃんは"カッコイイ"ね 小さい頃から、友達にはよく言われてた。 ――カナエちゃんが彼氏だったらいいのに。 違うよ、私は男の子じゃないよ。 ――カナエちゃん、私ね――― 夢を見た。 昔の、夢。 懐かしいな…もう、忘れたと思っていたのに。 多分、昨日…私に似た彼女に会ったから。 ふと顔に手をやると、ぱり、と渇いた跡。 「カナエ、おはよう……カナエ?」 少し寝過ごしたらしい。 いつもは私が起こすまで布団にいる蒼衣は、すでに身支度を終えていた。 「カナエ、泣いてる?」 「ううん、変な夢を見ただけだよ。さ、風音になぎ!起きなさい!」 蒼衣は納得はしていないものの、それ以上干渉してこない。 私は布団から出ると、今の今まで寝ていた自分を棚に上げ、私が起こすまで起きる気のない2人を起こしにかかった。 エンジュには焼けた塔と鈴の塔の2つの塔がある。 私を導く声の言う「塔」は、もしかしたらそのどちらかかもしれない。 調べるのにどれくらい時間がかかるかはわからないけど、今日はそのどちらかだけでも行けたらいいなぁ。 そしたら、ジムは明日かな。 なかなか起きない2人を布団から出して、朝食を済ませ、私たちはポケモンセンターをあとにした。 ……と。 「あれ…?」 私たちの居るところから少し離れた街の入口近く。 朱いふさふさとしたものが目に入った。 あれは… 「ガーディ?」 この世界に来て、最初の方にカイトさんに見せてもらったポケモン。 「カナエちゃん、どうしたの?」 なぎが立ち止まったままの私に声をかける。 「ちょっとね…ねぇ、あっち行ってもいいかな?」 「私はいいけど…あっちは塔の方じゃないよ?」 うん、わかってる。 でも、あのガーディが何故か気になるんだ。 |