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「うぇー…死ぬかと思った」

「翡翠くん、大丈夫?」

「翡翠、それは大袈裟」

「ばっかねぇ、一気に掻き込むからじゃないの」

「もう、ほっといてよ!」

きゃいきゃいと騒がしい声を背に、落ち着いて今朝からの記憶を手繰る。
朝、コガネシティを出るときに食料と飲み物を買ったから、その時は間違いなくあった。
…ってことは、自然公園でお昼を食べたときか、エンジュの手前でバトルをしたときか。
考えられる可能性はこれくらいで。

「とりあえず、今日はさんぼんぐりの辺りまで探そっか」

「そうね…お財布は心配だけど、暗くなったらカナエちゃんの身の方が心配だわ」

「アタシ夜あんまり動けないしねー」

…と、いうわけで。
私たちはポケモンセンターを出て、エンジュの入口辺りまで戻ってきたんだけど。

「もうだいぶ暗いなぁ…とりあえず、右手の方は翡翠となぎで探して、蒼衣と風音は左。私はまっすぐで、ちょっと探して見付からなかったらここに戻ってくること」

「カナエ一人は危ないよ」

蒼衣が言った。

「あんたたちを一人で行かせる方が心配よ。そんな遅くまでは探さないし、大丈夫よ」

何か言いたそうだったが、渋々蒼衣は頷き、私の指示した方へ風音と共に向かった。
翡翠となぎも、逆の方へ足を進める。

「さぁ…て、と。何であんなもの落とすかなぁ」

落としても気付きそうなもんなんだけどなぁ。
とにかく、悔やんでいても仕方ない。
道なりに続くしげみの影を覗き込む。
それらしいものは見当たらない。

辺りは薄暗く、やっぱり誰かと一緒の方がよかったかなぁ、なんて少し後悔したが、それも今更だ。
屈み続けた腰を伸ばし、一息ついたとき。

「ねぇ、ちょっと」

後ろから、知らない声に呼び止められた。


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