2 「あ…い、たたたた…」 落ちた拍子に受身を取ろうとしたが勢いに負けて思いっきり擦りむいたようだ。 幸い、落ちた場所は柔らかい土や芝生が生えていたのでそこまで酷い怪我ではないが。 しかし痛いものは痛いし、傷口を消毒もしなくてはいけない。 辺りを見回すとどうやら夜みたいで空にはまあるいお月様。 私はいったいどれくらいあの不思議な感覚を味わっていたのだろうか。 夢……だったんだろうか。 ひとまず家に帰ろう。 と、立ち上がろうとしたところで気付いた。 私の家の近所に、柔らかい土や芝生なんて、ない。 はっと辺りを見渡すと、そこはまるで見覚えの無い場所。 アスファルトで舗装されていない道に、よく見ると芝生と呼ぶには少々伸び過ぎた草むら。 さっき買い物をして出てきたはずのスーパーも見当たらない。 「うそ…でしょ」 どこだ、ここは。 辺りを見渡しても建物どころか人の気配もない。 ふらり、と立ち上がって途方に暮れた、その時。 ガサ…ガサガサガサ…… 何か居る! どうしよう、どうしよう、どうしよう。 野犬だったら?逃げようにも、何が何だか分からなくて身体が動かない。 音は、どんどん近づいてくる。 助けて。助けて助けて助けて! 誰か!! |