2 背の高いビルが立ち並ぶ中で、一際目立つ建物。 それが今私たちのいる、ラジオ塔。 その一角で、私たちは小さな緊張感に包まれていた。 「ファイナルアンサー?」 「……、ファイナルアンサー!」 ごくり、と息を飲む。 しばしの緊張が走り、そして。 「おめでとうございます!全問正解されましたので、このラジオカードを差し上げます!」 「やったぁ!」 うっかり勢いで「ボンゴレ」で頷きそうになったが、よく考えなくてもボンゴレなわけはない。 「いやぁ、あんたすごいなぁ。うち、最後の問題は絶っ対ボンゴレやと思ったわぁ」 あかんなー修業が足らんわー、と鮮やかなピンク色の髪の少女は言う。 呆気に取られて彼女を見てると、 「ん?うちの顔に何かついてる?え、違う?いややわ、あんたみたいな綺麗なお兄さんに見られたら、うち恥ずかしいやん!」 正直、イラッとした。 人に口を挟む余裕を与えないのは百歩譲って許そう。 しかし、私は女だ。 誰がお兄さんだ…! (そりゃあ、この子に比べたら胸は小さいけど!) 「ちょっ、」 あのねぇ、と言おうとした瞬間。 「あ、ごめんなー。うち、そろそろ帰らなあかんねん!ほな、またねー!」 反論する間もなく、彼女は立ち去って行った。 蒼衣が何かを感じ取ったのか、一歩後ずさる。 「……蒼衣」 『な、なに?カナエ』 「こうなったら、今からジム殴り込みかけるよ」 今、思い出した。 あのピンクの子は、このコガネシティのジムリーダー…アカネちゃんだ。 いくら男の子みたいね、って言われることが多いからって、真剣に間違えられたんじゃ立つ瀬ってもんがない。 私は気合いを入れて、ラジオ塔をあとにした。 |