3 ポケモンセンターについたけど、部屋の中は微妙な沈黙。 少し、居心地が悪い。 蒼衣もなぎも、風音ですらどうしたものかと困ってる。 「ねえ、翡翠?」 カナエちゃんは言った。 「カイトさんのこと、嫌いなの?」 その声は怒ってないけど、少し、悲しそうだった。 ううん、違うよ。 僕は首を横に振る。 「じゃあ、どうして」 わかんない。 わかんない、けど、 なんだかお姉ちゃんがとられちゃう、気がして 『もやもやしたの。カナエちゃんが、あの人と話してるの見たら』 え、とカナエちゃんは驚く。 そして、にっこり笑って言った。 「なぁに、翡翠。嫉妬したの?」 僕はこの気持ちの名前を知らない。 知らないけど、多分、"シット"。 答えないのを肯定としたのか、ぐりぐりとカナエちゃんは僕の頭を撫でる。 「可愛いやつめ。カイトさんはただの恩人だよ。それに、」 いたずらっぽく笑って言う。 「カイトさんに会わなかったら、私、翡翠に会えなかったかもしれないんだよ?」 私を博士に紹介してくれたの、カイトさんだからね。 と、カナエちゃんは言った。 カナエちゃんに会えないのなんて、それはやだ! 『カナエちゃん、ごめんね』 ぽつり、と僕は呟いた。 「いいよー、私は。次にカイトさんに会ったら、ごめんなさいするんだよ?」 『うん!』 僕は頷いて、カナエちゃんの腕に飛び込んだ。 すれちがいの、おわり。 |