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「あった…!」

同じような建物の並ぶ街を歩き回り、しばらくして。
私はようやく、目的の場所を見付けた。

「失礼しまーす」

がらり、と目的の扉を開く。
中には誰もいない。
…奥かな?

ことり、と奥で物音がした。
やっぱり奥に居たんだ。

「はーい、どうしたの?」

奥から出て来たその人は、

「カイトさん!」

今日、カイトさんがここに居る保証なんてなかったけれど。
どうしても、コガネにもう一度来たらカイトさんに挨拶がしたくて、真っ先にコガネの交番にやってきた。

「あ、カナエさん?!」

突然の来訪に、驚きを隠せないカイトさん。
私はどうも、と会釈をし、

「お久しぶりです」

「久しぶり、うまくやってるかい?」

「はい!あれから、手掛かりを見付けるためにジョウトを旅することにしたんです」

そっか、とカイトさんは微笑んだ。

『ねぇ、カナエちゃん。この人誰?』

足元から不思議そうにカイトさんを見上げる翡翠。
心なしか、その声に苛立ちがある気がするのは果たして気のせいなのか。

「ほら、翡翠ー。最初に私を助けてくれた、カイトさんだよー」

ひょい、と翡翠を抱き上げてカイトさんを紹介する。
すると翡翠は『ふーん』と言って、ぷいと横を向いた。
何でこんなに機嫌悪いんだろ…?

「あははは、どうやら俺は翡翠君に嫌われたみたいだね」

苦笑しながらカイトさんは言う。

「いえ、普段はすごくなつっこいんですけど…多分、疲れてるかお腹空いてるんです」

翡翠が少し微妙な顔をしてこっちを見たけど、何も言わずにまた視線を逸らした。
あとで話を聞かなくては。

「おっと…そろそろ夕方のパトロールに行かないと。カナエさん、今晩はポケモンセンターに泊まるのかい?

「はい、そのつもりです」

「送っていくよ。明るくなってきたとはいえ、女の子一人じゃ心配だ」

足元で翡翠が小さく『僕もいるよ』と呟いたのを私は聞き逃さなかったが、何も言わずに小さく溜息をついた。


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