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「へぇ、そんなことがあったんだ」

私の説明を聞いたヒビキくんの第一声。
ヒビキくんは事情を全部知っているし、問題ないだろうから、覚えてることは全部説明して。
蒼衣は自分の兄弟分と再会したのがうれしいのか、ヒビキくんのラルトス…心太くんと名付けたらしい…と遊んでいる。
(それは"ところてん"って読むんだよ、って言おうかとも思ったけど、やめた)

しばらく考え込んでいたヒビキくんが、ふと思い当たったように口を開く。

「カナエさんが会ったっていう舞妓さんは、多分エンジュの舞妓さんじゃないかなぁ…確かあそこ、歌舞練場とかあった気がするし、」

そっか、エンジュシティ…コガネシティの次の街。
確か、あそこには

「エンジュってさ、塔があるのカナエさん知ってる?」

そう。エンジュにある、ふたつの塔。
もっとも…そのうちのひとつは、火事で焼け落ちてしまった、はずだけれど。

「もしかしたらさ、エンジュに行けばわかるかもしれないね」

「そうだね。ありがとう、ヒビキくん」

「いやいや、礼には及ばないって!」

なにそれ、と私たちは同時に吹き出した。
ど、同時に一人で寂しくなったのか翡翠が私の膝の上に飛び乗った。

「どしたの、翡翠ー?」

『蒼衣、心太と遊んでるからつまんない!』

ぷい、と少しふて腐れる。
うーん、このさみしんぼさんめ。
うりうり、と翡翠の頭を撫でたら『何するの』と言いながらも楽しそうにしたから

「ほら、3人で仲良く遊んでおいで」

と促すと、機嫌が直ったのか元気よく蒼衣たちの元へ向かっていった。

『蒼衣、心太!あそぼー!』

『わぁ、翡翠がきたー!』

きゃきゃ、と3人で戯れるのを見て、うっかり「若いなぁ」なんて思ってしまって、いやいや、と首を振った。
まだまだ私は若いのだ。
あの子たちが若すぎる、だけで!


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