「青山くん、いらっしゃい。七助、おかえり」
長い髪を揺らして、姉さんはパタパタと走ってきた。丁重に断ったが、青山と俺の荷物を受け取って「手洗いうがいしてきなさい」と言う。子供っぽいと思いつつ、二人で律儀に手洗いうがいをする。姉さんの強制するでもないその声色には、俺達は寧ろ逆らえはしないのだ。小学まではよかったが、中学にもなって少し恥ずかしくもあった。青山は姉さんを昔から知っているがそれでも恥ずかしいものは恥ずかしい。
「なまえ姉さん、すごいよなぁ」
いつでも準備してある青山専用のコップに水を注ぎながら、そう呟いた。
「いつまでも俺たちのこと子供扱いできるなんてさ」
「多分姉さんの歳を追い越すまで子供扱いだろうな」
「つまり、無理ってことだろ?」
「まぁな」

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