「…伸びてない」

身体測定、去年から身長が全くと言っていいほど伸びていなかった。まぁ、伸びることには伸びた。一応用紙にはミリ単位で変わった数字が書いてあった。ただ、見た目にはほとんど変わっていない訳で。一番身長が伸びた時期は小学生の時だったような気がする。あの頃はクラスの男子よりも大きくて、大きくて…。それだけが自慢だった気がする。それが今じゃ小さくて悩んでいるなんて、あの頃の私は思い付きもしなかっただろうな。

「ちびっこなまえちゃーん。身長伸びたかー?」

センチ単位で変化している数字を見せ付けながらサンダユウが歩いてきた。自分でも何となく青筋が浮き出るのが分かった。

「でくの坊サンダユウくん、伸びていないことを分かってて話し掛けるなら止めていただきたい」
「分かってるからやってるんだろ!」
「自信満々に言わなくてよろしい」

ぎっと一睨み。それでもサンダユウのへらへらした表情は変わらない。何をそんなに浮かれているのやら。

「なまえ昔さぁ、自分より背の高い人が好みだって言ってたよな」
「ああ、そんな時もあったね」

ぐしゃぐしゃと自分の身長の書かれた紙を丸めながら言った。今じゃほとんどが私よりも大きくなってしまったから、その好みは意味を成さなくなったが。

「だから俺は嬉しいんだよ」
「ふぅん………。えぇ?」

丸めた紙をゴミ箱に放り投げたら縁に当たって外れた。おしい。

「なまえに見合う男になれて嬉しい」
「…いや、だからさ、ほとんどの人が条件クリアしてるの分かってる?」
「あ」

まさか、忘れてたのか。周りが見えてないと言うか、自己中と言うか…。良くも悪くも猪突猛進なやつだ。落ちたゴミを拾って普通に捨てた。

「じゃあもっとなまえに見合う男になってみせるからな!見てろよ!」
「はいはい精々頑張ってね」

なんか、もう、色々十分だけど。


110625
―――
一万打の場合サンダユウのキャラが弾けますね。
瑠さん本当にお待たせしました!影が薄いサンダユウですが忘れないでくださいね。




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