「俺と、お付きあいしてください」
「…えーと、その…」

夕陽の射し込んだ誰もいない教室。私の目の前で告白しているのは間違いなくバダップくんだ。そう、あの容姿端麗、成績優秀な王牙学園トップのバダップくんが。でもあくまで友だちなのだ。それに、私は、

「…あの、」
「ちょっと待った!」

黒髪の人物がずかずかと教室に乗り込んで来た。ちょっと机につまずいたのはご愛敬だ。

「何用だエスカ・バメル」
「お前がなまえと付き合おうなんざ百億年早いんだよ!なまえは俺の彼女なんだ!」

…その…エスカバくんも素晴らしいお友だちです。しかも私はいつから君の彼女になったんでしょうか。そのような記憶が無いんですけども。

「彼女じゃないですよ…。あの、だから…」
「はっ、いい度胸してんなエスカバ!バダップ!ミストレーネ様のなまえにちょっかい出そうなんざ!」

どこから湧いて出たんですかミストレくん。そこはいわゆる天井ってところですよね。普通の人間が出入りする場所じゃないんですよ…。それに私は貴方のものじゃないんですが。

「いい加減にしろお前達。なまえが困ってるだろ。それに真剣に告白してるのは俺だ」
「はいそうですか、って引き下がれるか白髪野郎!」

エスカバくんさりげなく酷い。白髪じゃなくて、銀髪って言ってあげたらいいのに。エスカバくんが掴みかかってるけど、止めた方がいいだろうか。思いきってバダップくんとエスカバくんの間に入ろうとするとミストレくんにがしっと手を掴まれた。

「さ、あいつらが喧嘩してる内にデートに行こうか?」
「え」

「おーいなまえー。帰ろうぜー」

救世主、来た。

「サンダユウくん!」
「俺の彼女に何やってんだミストレ?」
「はっ、サンダユウの…彼女だって?エスカバと同じこと言わないで欲しいんだけど。ねっ、なまえ」
「えーと…本当だよ」

ぴしっとミストレくんが笑顔で凍りつき、喧嘩していた二人も手を止めた。暫しの沈黙の後、静かにバダップくんが口を開いた。

「エスカバ、ミストレ」




20XX年X月X日デスブレイクにより王牙学園半壊。負傷者生徒一名。


110518
―――
負傷者はもちろんサンダユウです。ギャグになってないギャグですいませんでした!
チーさんリクエストありがとうございました!




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