今日の夜も料理に洗濯、風呂洗いときびきび働き回るサンダユウ。私と暮らす前から家事はこなしていたようだが、かなり手際がいい。知っての通り、私は家事はあまり上手くない。出来ないこともない。要約すれば下手だ。

「分かんないなぁ…」

そして、頭も良くないので宿題もさっぱり進まない。真面目なサンダユウのせいで、もしくはお陰で、宿題は毎日こなしている。

「紅茶飲むかー?」
「のむ」

キッチンから聞こえてくる声に返事をして、改めて理科の化学式に立ち向かった。

「あー…」

…だめだ、さっぱり分からない。
シャーペンをテーブルの上に投げ出してソファの座るべき部分にひっくり返った。

うとうと。

眠くなる。

目を瞑る。

あ、お風呂入ってないから寝たらいけないや。

「眠いなら寝ればいいじゃないか、明日は休みなんだし」
「え、そうなの?」

紅茶と共にやって来たサンダユウにそう言われ飛び起きた。カレンダーを見ると、確かに明日は祝日で休みである。しかも土日が続くので三連休だ。

「じゃあ、サンダユウとゆっくりできるね!」
「それ、煽ってるのか?」
「ちがう」

サンダユウの話題を断ち切るように紅茶を一口。甘くて、いつ飲んでもおいしい。
砂糖がたっぷり入っているとサンダユウは言うが、丁度いい甘さなので普通に美味しいと思う。そもそも砂糖は入れないと美味しくないんじゃないか。サンダユウはいつも無糖で、それが不思議で仕方がない。
しかし、優雅とは程遠いこのお茶の時間は好きだ。

「紅茶ってさ、執事つきのお嬢様とか上流階級の人とかが美味しく飲むものだと思ってた」
「偏見だな」
「ね。サンダユウみたいに、上手い人が淹れれば安くても美味しいよ」
「はは、随分安っぽいお嬢様だ」
「そうだね、安っぽい執事さん」

でも、執事よりも身近で。

―――

まえつぎ




「#オリジナル」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -